「敗北のスポーツ学」第5章読書感想文。

第5章 グレートなチームは存在するのか?

にわかなので知らないですけど、地域密着とか育成とか世界に向いてるチームは好きなのでマリノスとか日ハムとかどうでしょ?下位リーグでも地方で盛り上がってるチームとか楽しそう。ファンの姿勢もだいじかな〜。

ピッチレベルの話なら前章の感想で話したジャイアントキリングするチームでしょうか。何かが起こる時チーム全体に何か取り憑いているという表現をしましたが、恐らくその時は全員が同じ集中力を同じベクトルに向かわせてる気がします。最近、脳の同期だとか脳波のシンクロだとかの記事を見掛けます。

ジャイキリするチームはこの状態に入るのではないかと想像します。そのためにはスキルではない部分、他者観や感情や目標なども一致しなければならない気がして、それはグレートなことだと思います。

読んでみます。


どうやって生き残るか。

「人間は進化の過程で集団を志向するDNAを持った」とするダーウィンの進化論に触れ、しかし利己的な人の方が生存しやすいのではないかという問い

日々ポジション争いしてるサッカーも勿論そうですが、これはどの世界にも言えること。なぜ集団のために犠牲を払うのかという問い。椅子取りゲーム、生き残りのジレンマ。

芸能界でも生き残ってるのは「凄いやつ」じゃなくて「いいやつ」だってそう言えば誰か言ってたな。

もしかしたらサイコパスの方が生存確率は高いのかも知れない、でもアスペは生きづらそうという所に答えがありそうですが、学術的な答えは出てないそう。

続いての段

要約:一般社会では何か問題が起きても10秒ほど時間をおけば理性によって適応できうるが、サッカーの場合とにかく時間がない。1秒の遅れが致命的、0.1秒で反応しなければならない。
これは文化人類学的な体験とも言え、本質的な組織づくりに対するヒントがありそう。

この話を2つの視点から考察するのが次節と次々節です。(いつもは先を読む前に感想文書いてるのですが、「群れ」とか「組織」が苦手なので一度読んで一晩置きました笑)

視点➀ 期待とか、裏切りとか。

「『信じます』って(中略)自分が理想とする人物像に期待していること(中略)。だからこそ人は『裏切られた』と感じたりもする(中略)受け止められる揺るがない自分がいることが“信じる”ということなのかな」

Twitterでも話題になった芦田愛菜さんのこの言葉を筆者も引用していました。もしかしたらその影響もあったのかも知れませんが、私は「人には期待してしまう、猫がいい。」と考えて、猫と暮らすことを選びました。(偶然、アスリートを応援するとは何かを考えさせられた第1章の感想にも書いてました。)

このように「信じる」ことは難しいことかも知れません。人には「期待」してしまう、その前提で筆者の話は続きます。

要約:サッカーはミスが起こりやすいスポーツ。手が使えないので当然であり、ある程度ミスに対する耐性はあるが、それでも反応が1秒遅れてしまう。
ここにパスが来るだろうとかパスした相手がボールを収めるだろうなどの、期待とのズレが大きい(裏切られた)時、問題が起こる。

これを踏まえ、筆者は提案します。

自分は何ができて、何ができないのか。
それをあきらめ、周りに開示すること。

なるほどな〜。期待する、されるのを辞めること。やっぱり猫がいいにゃん。仕事なら黙々と淡々とやれる仕事がいいにゃん。


視点➁ 議論とは。

何かを決めるためのものではない。それは元も子もないが、ある程度「群れ」をやった人が辿り着く結論。

しかし筆者は「議論には意味がない」というニヒリズムに留まるべきではないとします。結果ではなく過程が重要であると。

議論とは、正解や真理を求めるものではなく「わたしたち」を形成するものだと。

要約:サッカーのパスミスと、ビジネスのコミュニケーションエラーは似ている。しかしサッカーのそれは本当に回数が多く、強烈な解像度とインパクトを持つ。そのたびに感情を大きく揺さぶられながら闘ってきた。

こんなに汚い感情が、どうして自分の中にあるのだろうかと嫌悪し、嘔吐しそうになるのを何とかこらえながら、次の瞬間にはまた誰かとともにプレーしなければならない、そんな体験です。

184頁

期待と議論。これに文化人類学的に向き合ってきたとも言えるアスリートの体験は組織づくりの大きなヒントになるだろうという筆者の言葉は、スポーツファンとして体に染み込ませておきたい。

期待せず、現象や他者を受け止められる揺るがない自分、信じられる自分になるために。


第5章のあとに挿し込まれている対談は「越境、だいじだよ〜」というようなお話。とても面白かったし、お相手の方を検索したら出てきた記事も「越境だ〜」となって楽しかったです。

第5章おわり。続きはまた。


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