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【読み放題対象】国家論Ⅰ ~「日本人に生まれたというだけで、日本人には価値がある」という言葉は、なぜリベラルをあそこまで怒らせたのか~


コロナ禍になってからずっと私は、あの有名な「日本人に生まれたというだけで、日本人には価値がある」という言葉をめぐっておきた炎上事件について何かを書かなくては、と思っていた。なぜって、都市も国境も封鎖され、グローバリズムが破綻し、国民国家が国境の中の閉鎖的な系に逃げ込んだように見えていた中、もはや最後にすがる価値観のようになった「ナショナリズム」について考える時に、あの時ほど、人々の先鋭化した考え方がむき出しになった事件は無いと思えたからだ。
私の疑問は、「日本人には価値がある」をめぐって、なぜあそこまで擁護派と反感派がすれ違ったのかということだった。最初は全く理解不能だったが、考えを進めていけば、当然のすれ違いだった。
自己の政治理論をいくら先鋭化させていっても、そんなものは、もろくも砕け散る。必要なのはひたすら相手の思考をトレースし、両者の対立が生じる構造を浮かび上がらせることではないか。この論を読み終わったときには、「リベラルは、なぜすれ違い続けるか……こんなにも簡単な理由だったのだ」と理解できるようになるかもしれない。というわけで、まずは、本論の前提となる「国民国家」と「ナショナリズム」の基本的な考え方の解説からはいる。

想像の共同体


意外とこの話をすると貴方は驚くかもしれないが、古臭いものかのように誤解される「ナショナリズム」であるが、これは「近代化の遅れ」ではなく、むしろ「近代化の成果」なのである。なぜって?

ナショナリズムが成立するためには、同時に

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優しいネトウヨのための嬉遊曲。 おもしろくてためになる。よむといいことがある。

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