見出し画像

ART memo. Vol,1

Gregory Colbert (グレゴリー・コルベール)

『 Ashes and Snow 』

グレゴリー・コルベールを知ったのは、東京・お台場に仮設美術館が出来た時。
大きなコンテナが連なり重なり出来上がったその美術館の個性に一気に興味を惹かれるまま訪れました。
2007年3/11〜6/24まで開催された『 Ashes and Snow 』
移動式仮設美術館という面白そうなことをしている!!!
よくある美術館とは全く違い、作品と一貫した野生的な出で立ちに
鳥肌がたったのを覚えています。

DM

外観・日中
外観・夜間 これもまた風景に馴染み作品に見える
外観・夜間

50点を超える大型ミスクメディア写真と3本の映像のインスタレーションで構成されていた。
写真作品は、およそ3.5×2.5メートルの大きさで、特殊なプロセスで手作りの和紙に焼き付けられていた。映像には、60分の35ミリ作品1本と映像は行くと呼ばれるショートフィルム2本がある。
写真と映像のイメージには、コラージュや重ね焼きといった合成技術が一切使われていないという、純粋な作品だ。映像は、詩的な情景を映し出す事に主眼をおいていて、ドキュメンタリーとは一線を画している。

迫力のある大きな入り口に贅沢なほどの大きな布のカーテン
館内構造

圧倒的な世界観・静けさの中に迫る迫力。
情報世界においてこのような野生的な「静寂」と「躍動」が表裏一体となって
表現された作品に違和感と忘れてはいけない何かを
訴えかけられている思いもする。
人間と動物の魅惑的な写真は、驚くべき調和を映し出している。
時間を超越した神聖さ・時代を超えて語りかける真の英知といった
恍惚の空間を体験した。

館内中心に引かれた一本の道と作品たち
映像

『 Ashes and Snow 』という名前は、作品展に流れる物語にちなんでいる。
一人の男が一年に渡る旅路の間、妻に向けて365通の手紙を書いて行くという小説作品で、その手紙からの抜粋が映像作品でも語られる。

コンテナと作品の間の空間
美術館そのものも作品

東京での展示は、あらゆる意味において『帰郷』のようなものだった様子。
コルベール氏は『 Ashes and Snow 』を製作するにあたり、
日本人のコラボレーターたちと長期間協力してきた。
ノマディック美術館は建築家の坂茂氏が設計し、
写真作品は専用の手漉きの印刷され、
カメラマンの中村宏治氏が、像や鯨の姿を水中から何枚も撮影しました。
※コルベール氏自身も映っている。

Gregory Colbert ✣ Whales
Gregory Colbert ✣ Whales
Gregory Colbert ✣ Whales
Gregory Colbert ✣ Elephant

コルベール氏は、この展覧会で大型写真作品用の印刷紙として、日本・徳島県のアワガミファクトリーの和紙を使いました。
※秘話が下のリンクから読めますよ✨

当時、展示会にて購入したDVDを後に何度も見返した。
今見返すとまた違った良さがあります。
和紙の質感
セピアな世界での陰影の表現
空間の使い方は美術館でのみではなく作品の端々から感じ取れます。

展示で購入したDVD

カナダ出身のアーティストのGregory Colbertが作成する写真、映像、書簡小説のインスタレーション。
この作品展のために特別に造られた移動式建造物、ノマディック美術館を会場として、世界を巡回している。作品が目指すのは、人間と動物が共有する詩的な感性を探ること。
作品はこれまでにヴェネツィア、ニューヨーク、サンタモニカ、東京、メキシコシティで開催され、計1,000万人以上の鑑賞者を集めてきた。
生きているアーティストの作品展としては史上最多の動員数を誇っている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?