芸大に入った25歳1年生の話

大学。それは、私にとって嫌な思い出しかない場所であった。
治らない精神疾患を作った場所であり、講義中に意識を失ったのに誰も助けてくれず、救急車が来るまでに1時間以上もかかった場所であり、前髪を伸ばして、友人と会わないように息を潜めて遠回りをして歩き、1人で講義を受け続けた1年半を過ごした場所であるからだ。

東京の都会にあった大学では、髪の毛を金髪にする人など周りにはいなかった。ましてや、青や赤なんて、もってのほかだった。
金髪ツインテールで大学に行った日は、知らない男子大学生に「なにあれ、キモ」と通り際に囁かれた。
女の子は化粧を毎日バッチリしてきて、すっぴんで大学に行った私に「よく(化粧しない)その顔で来れたね」と友人は言った。
洋服も、ジーパン、Tシャツの人などほとんど居なかった。
ブランド物のバッグや、GUCCIやCHANELの紙袋に教科書や筆箱をいれているのがオシャレな子達であった。

留年も決まっていたし、簿記が必須なのに出来なかったのと、うつ病が酷く、1日3時間ほどしか起きることが出来ない程のうつ病になった私は、そのまま大学4年生になる年に大学を辞めた。
今ではあまり記憶が無いが、酷い時は希死念慮が強すぎて、母が隣でずっと寝てくれていたり、夜に家族を起こしたりしていたらしい。

精神疾患の症状が強い時の記憶は、普通薄くなる。
だから、私は大学2年生から3年生の終わりまでの記憶がほとんどない。
そこからさらに、大うつ病で動けなくなった時の記憶もあまりない。
人は辛いことを忘れるように出来ているという。辛いことを覚えていてもメリットなどないのだ。

前の記事でも書いたように、私はある日を境にオーバードーズという行為に出会ってしまう。
この出会いが私の人生を大きく変えてしまうのだ。
それについては、上記の記事を読んでもらいたい。
21歳から23歳まで、狂うように薬を飲みまくった。
やっと落ち着いてきた24歳、欲に抗えす、久しぶりに飲んだ市販薬で地獄を見た。
記憶の中で私は1回死んだのだ。
生きてはいたが、臨死体験をしたのだ。
その日から本当に市販薬のodはやめようと思い、それは今も続いている。

ここからが本題だ。
25歳、芸術大学1年生になった私は不安で仕方がなかった。
若い子たちにまじれるのだろうか。
くそばばあ死ね!とか言われないだろうか。
などと考えていたが杞憂であった。
良い友達に恵まれ、私の個性を否定する人間などそこにはおらず、逆に賞賛された。

ただ、どうしても気持ち悪いと感じる点があった。
それは、障害を持っている人の方が芸術的思考があると見なされるような風潮であった。
ADHDや、自傷行為、メンタルクリニックに通っている。それをしている人達の方が優れているとでも言うような感じがして気持ちが悪かったのだ。
社会に出たら、それらはお荷物でしかないし、隠して働かなければいけない事なのに。
それを芸大では、誇っている人間がいるのだ。
なりたくてなるものでは絶対ないのに。
薬なんて飲まない方がいい、刃物で体を傷つけない方がいい、発達障害でない方がいい。
それは、当たり前なのだよ…
みんな、芸大に来てバグっている。

25歳は思う。
やはり、18歳はキラキラしていて、クソワガママだ、と。
自分を軸とする支柱があり、それはまだ折れていない。
それがとても羨ましい。
個性は出せば出すほど、淘汰されいじめられる一般大学と違って素晴らしい。
ただ焦りもある。
ここの世界では、変わってないといけないのだというプレッシャーや焦り。それが、なにかの依存や、精神疾患に変わってしまうのだろうか。
自傷行為についてはこちらを参照してくれ

私は、精神疾患のことも、自傷行為していたことも隠していない。が、それらをかっこいいなどと思ったことは無い。
自分が死なないための、自分を助ける為の唯一の方法だと思っていた。

だから、友人のnoteでodを隠してしてる奴はまだよくても、隠さないやつは気持ち悪いと書かれていた時、ああ、そうだった。これってそういえば、気持ち悪いものだったのだ、と気付かされたのだ。

プライドが高かったり、優しすぎたりする人の心は脆い。あと、発達障害や、精神疾患は遺伝する。

なったら、ほぼ終わりなのだ。
私を見て分かるだろう。
25歳で大学生。
やりたいことやれていいじゃん!これからだよ!
それは建前で、社会的に明らかにおかしいのだ。
そして、体調不良が続き大学に行けない日もある。部屋の中でウィダーを1日1つ食べるだけ。
固形物を口に入れると吐き気をもよおす。
部屋の片付けはできない。

これは、誇れる個性では無い!

だから、精神疾患にどうにかなる前に手を打って欲しい。
酷くなる前に。
芸大では辞める人が多い。精神を病む人が多いと聞く。元々その素質があったとしても、放置したら、私みたいに何年も動けなくなる。

芸大にきて、個性を否定されないのは素晴らしいことだと思う。
と同時に、精神疾患が強みになることや、個性が強すぎるが故に、取捨選択が出来ずに自分の考えに固執してしまうのは本当にもったいないと思う。(ブーメランかもしれないが)

何度も、私が現役で芸大に来ていたら、と思ったよ。あのときの私はまだ病気でもないし、創作意欲も高かったからね。

卒業…できたらいいな…

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