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矛盾

目覚めると私は太陽に輝く月を見た。眩しい朝日に目を細めると街灯が灯り始める。その日は大雪の降る真夏であり、不幸な幸福の始まりであった。
私はコーヒを飲み、眩しく輝く月に照らされながら外を歩いた。日中の人の熱気いまだに残るアスファルトにこれでもかと降る雪がいとも簡単に溶かされてゆく。
私は眠りながら起きていた。道路には首なし鳥が楽しそうに踊っている。私はそれを1人で見ていた。しばらくすると踊るのに飽きたように首なし鳥は何処かへさっていった。私は再び歩き出す。
老婆が立っている。こちらを名残惜しそうに見ながら、彼女もまた歩いていた。私も一歩一歩歩き出す。
しばらくすると道路の真ん中に線が書かれている。その両端で人々が叫んでいた。何も聞こえない。彼らは怒っていた。それぞれが異なることを叫んでいるようだ。けれどもそれは結局同じことだった。
赤信号で車が進み、青信号で止まった。人々が殴り合いながら抱き合い、抱き合いながら殴り合っている。私も試しに殴りにいった。酷く痛かった。
酷く私は孤独だった。心地がいい。心地がいいのだ。あちらから誰かやってくる。私は体を丸めてうずくまって隠れた。誰かは去っていった。少しホッとして、悲しくなった。私は再び歩き出す。何に期待するのか。何が目的か。目の前にボールが転がってくる。向こうで誰かが手をあげている。私はそのボールを抱きしめた。そして、その手をあげる誰かへ思いっきりボールを蹴った。その誰かは笑っている。私もなぜか笑っていた。
月の輝きはより一層街を照らした。雪解けの水がやけに冷たくて心地よかった。
朝日の眩しさを消え去り、街灯が消え始めた。
私は再び歩き始めた。

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