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著作権法 判例 ポパイネクタイ事件(最判平成9年7月17日(平成4(オ)1443))

 漫画の登場人物(主人公)であるポパイの絵をモチーフにしたネクタイを販売した業者が訴えられた事件です。

(ポイント1)この事件(最高裁判決)では、具体的な漫画を離れた登場人物(日本ではキャラクターと呼ばれる)は著作物ではない。
 判断理由は難しいですが、漫画のキャラクターは、漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念であって、具体的表現そのものではなく、それ自体が思想または感情を創作的に表現したものということができない、とされました。


(ポイント2)ネクタイのポパイの絵は、原作の絵(美術の著作物)に対する複製権侵害と認定しています。
 複製というためには、第三者の作品が漫画の特定の画面に描かれた登場人物の絵と細部まで一致することを要しない。その特徴から当該登場人物を描いたものであることを知り得るものであれば足りる。つまり、特定のコマに描かれたものと同じでなくても、ポパイの特徴と酷似した絵を描けばポパイの複製権侵害になるわけです。


(ポイント3)2次的著作物の著作権は、2次的著作物において新たに付与された創作物部分のみについて生じる。
 連載漫画の後続の部分は先行する部分の二次的著作物だと認定しています。
 個人的には、後続部分のストーリーや登場人物は変わりますし、違う絵柄のものもあるはずです。したがって、後続部分が先行部分の表現形式を変えただけのものではないと思います。

(ポイント4)連載漫画において、登場人物が最初に掲載された漫画の著作権の保護期間が満了した場合、後続の漫画の著作権の保護期間がいまだ満了していないとしても、当該登場人物について著作権を主張できない。


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