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【400字小説】マッチョなムード


精神障がい者に理解があると思ってた。
でも、面接でのやわらかい態度から、
入社して一転、初日から手のひら返しで、厳しく。
わたしは笑うほど驚いちゃって、混乱。
「いいからやれ!」と怒鳴られて、
同僚たちも「ブラック企業だって、
黙っててごめんね」みたいな顔をしていて、
わたしは恨む寸前で、
なぜか同情してしまった、彼らを。

それで正気に戻って「大きな声、
出さないでください!」と強気になれた。
自分でもびっくり。
すると身長190cm近くある社長から
軽く右肩を小突かれたので、よろけた。

わたしは「今のはアウトです!」と叫んでいて、
「ああ、逞しくなったなあ」って。
「辞めます!」とわたしは宣言していた。
すると同僚たちが
満面の笑みで立ち上がって「合格!」と拍手。
社長も「ごめんな~」と柔和な笑顔で。

「きみを試したんだよ」って言った。
「フラッシュモブかよ」とわたしはやっぱり
退社することを決意。
ドーピングした宗教っぽくて薄気味悪いじゃんか。

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