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沼った、困った。わたし、ゲイの才能ある?!

20年以上振りにプリンス『Parade』を再聴しているわけだが、音がスカスカで、殿下らしいファンキーさがない!と憤っていた。だがしかし、繰り返し聴いていると◎な感じもしてくる。正直言って《愚作》とぶった斬ってここに書いてやろうと、半ば決心していたんだけどね。

 

いや、でもこのアルバムをサントラとする殿下監督作の映画『Under the Cherry Moon』は四半世紀経った今でも鮮烈に覚えているくらい酷い出来だった。だからこのアルバムも殿下にとっては、やっぱり黒歴史的な1枚になるのでは?なんて思ってましたけど。

 

そんな気持ちを覆してくれたのは「New Position」(①)と「Kiss」(②)と「Sometimes It Snows in April」(③)でしたね。

 

①は鐘の音がとにかくキャッチーです。リズムも小刻みで軽快。歌唱もセクシーで聴くごとに中毒になる。

 

②は冒頭の「Uh!」に尽きますな。色気の塊、変態の極み。これ、殿下じゃなければ気持ち悪いだけですよね。それに加えて書かねばならないのはラストのシャウトして歌うパートで、声が想像以上にキモすぎます。なのに、際立ってカッコいい。殿下は天才と変態の合わせ技、奇跡の存在。それを表す1曲です。秀逸すぎて、アルバムから浮いてる気がするのは、わたしだけか……。

 

③は美しすぎだなあ。「4月の雪なんてロマンチックすぎるだろ」って冷めちゃう危険性を孕む中、これもアリだなと思わせる殿下の人間としての美しさヨ。まあ、実際に日本では4月に雪降ることありますからね。ギリ現実味があって、リアリティ。アメリカだとあり得ないのかな?バリバリのロックスターがこんなセンチメンタルに歌うのはズルいよ。

 

軽いがゆえなのか、何回も聴いても難解じゃない今作。すごくシンプルなポップス・アルバム。でも、奥に潜むファンキーさとロックっぽさと色気と狂気と。②が浮いていると書きましたが、そうでもない気がしてる。アルバム一括りで全1曲の素敵な作品。愚作だなんて一瞬でも思ってゴメンよ!

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