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雪が溶ける前に⑦


最終日のLIVEは当然のように良かった。最終日というのはそれだけで何か乗っかるものがあるというのは経験則上、もうわかってはいたものの、RYOJIさんのLIVEは少なくとも僕がいままで拝見した中で1番よかった。

クオリティーの高さは言わずもがなで、そこにたしかに宿る感情。ビシバシと伝わってくる何か。

心の奥底にある傷を口にするのは時に勇気がいる。話してくれた事、話そうと思ってくれた事。
 大人への不信感へのきっと原点。なにかを守りたいと思う気持ち、無力な自分。胸の大きな痛み。
 だからこその音楽、だからこそ今ある優しさ。そんな事を思いながら。ほんとにこの三日間、RYOJIさんにお願いしてよかったし、識れて、よかった。


なんだか久々なこの感じ。一体なんやっけ?
 僕には小学低学年まで、よく可愛がってくれた、つり吉三平好きの親戚のおにーちゃんがいた。よく遊んでもらってた。というおもちゃにされてたように思う。笑。でもすごく優しい人だった。ある時バイク事故でなくなってしまったけど、なんだか、おにーちゃんと呼ぶ人がいたあの頃のような気持ちになった。


LIVEが終わって、あっという間に雪が降り積もった店の前で、いろんな物に酔っていた僕は、雪にダイブして遊んだ。
 寒かったし冷たかったけど、楽しかった。
楽しかった。



最後は2人で近所の居酒屋で乾杯。
なんだか、ここに書いてきた当たり前に感じた事を、そのまま伝えることができたと思う。ともすれば少し恥ずかしいような話でも、そのまま、話せたと思う。それでも少し気恥ずかしさはあったけれど。


誰かの力になりたい。そんな風な気持ちが色濃く芽生えてきたのは、近年の事。余計なお世話である事は百も承知だけれど、いいなぁ、この人の音楽をもっとたくさんの人に知ってもらいたいて思ったことは何回かはある。胸の内の言葉をそのまま、書くなら、おれが絶対広めてやる、だ。
 しかしながら、お世話になった人、好きな人になにかを返そうなんて思ったところで、自分自身に力がなさすぎる。まずは自分が広がらなければなにもできない。



THE MODS は
さぁ 走れ 崩れ落ちる前に ここまで

と歌っている。

ここ には辿り着けてないのかもしれない。いや、何度も何度もきっと辿り着いているとおもう。
けれどもまた、走ると思う。ずっと。


降り積もった雪は、車道も歩道も覆い尽くして、あたり一面の雪景色に変えてしまった。
 雪に文字を書いたり、雪だるまを作ったりして遊んだ。踏みしめる雪の感触とその音。
 その景色はなんとも爽快でありながら、どこか寂しげで。
夜の街灯がとても優しかった。

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