「ファスト教養」の心に響いたところ抜粋

「ファスト教養」(著・レジー)を読み終えた。
所謂「ファスト教養」についての話にとどまらず、「学びとは何か」「知識とは何か」、そもそも「教養」とは何かという非常に幅広い本で、読んでよかった。
(本当に、「ファスト教養」に対する批判に終始することなく、発展的な本だった)

そのなかで心に残ったところを、記録のためにここにまとめておきたい。

「すぐ役に立つ」を突き詰めたものは基本的に普遍性を失う。なぜなら、それはすなわち個別事情に最適化したものだからである。

「ファスト教養」p45

すぐ役に立つ=すぐ使える=どこでも使える→普遍性がある
というイメージだったが、なるほどと思った。



ここ数年、「VUCAの時代」という言葉がビジネス書やビジネスパーソン向けのメディアでたびたび使われるようになってきた。「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(あいまいさ)」を意味する単語の頭文字をつなげたこの言葉は、今の時代がいかに不安定であるかを示す際に登場する。

「ファスト教養」p51

これは単純に、私が知らなかった言葉なのでメモ。
「ブーカ」って読むんだね。
https://www.i-learning.jp/topics/column/business/vuca-era.html


本来「学び」というものは「知れば知るほどわからないことが増える」という状態になるのが常であるにもかかわらず、ファスト教養を取り巻く場所においてはどうしてもそういった空気を感じづらい。

「ファスト教養」p124

「ファスト教養」へ、私がなんとなくもやもやしていた感覚が言語化されていたところ。たしかにそうだ。
好きになって調べはじめた場合、どの分野でも「ここまで知ったらOK」という風に満足することはないだろう。
(少し話がずれるかもしれないが、「ファスト視聴」などをしながらも「オタクになりたい」と思う人たちに対する違和感も、このあたりにあるのかもしれない。これを押さえればOKという気持ちは、「好き」を起点には出てこないのではないか)


ここで言えるのは、「利他は偶然への認識によって生まれる」ということです。私の存在の偶然性を見つめることで、私たちは「その人であった可能性」へと開かれます。

「思いがけず利他」(ミシマ社)
(「ファスト教養」ではp217で引用されている)

引用の引用となってしまうが、「ファスト教養」の裏にある「自己責任論」から射程を伸ばして、このような「他者への思いやり」というところまで書かれているのが、本書の素晴らしいところだと思う。
「思いがけず利他」…読みます。
https://mishimasha.com/books/9784909394590/


いやあ本当にいい本だった。
「ファスト教養」の背景にあるものを丁寧に読み解いていて、どっちが悪いということもせず、自分はどうしようかと立ち止まって考えられる、苦しいけれど前向きな本だ。

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