渾身の取材からの結論がイマイチな著作

安倍元首相と教団、本当の関係。

メディアが統一教会と政治家の関係をタブーとするなか、教団と政治家の圧力に屈せずただひとり、問題を追及しつづけてきたジャーナリストがすべてを記録した衝撃レポート、緊急刊行!
〈事件の10か月前、この宗教団体のフロント機関が主催するオンライン集会に予め撮影したビデオメッセージでリモート登壇した安倍は基調演説の中で、教団の最高権力者への賛辞を述べていた。全世界へ配信された安倍の基調演説を見た山上は犯行を決意。この”動機”は山上の思い込みなのか、それとも一定以上の確度をもって裏付けられるものなのか。その検証は第2次安倍政権発足後、9年間、3000日以上にわたって自民党とこの宗教団体の関係性を追ってきた私だけがなし得るものだった。日本の憲政史上最も長い期間、内閣総理大臣を務めた安倍が殺害されるに至った道程を記す。〉(プロローグより)

上記のサイトより

現世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党との関係を追っている著者の一作。本書の価値は2013年あたりから現在までの旧統一教会をひたすら追っていることに尽きる。だって、この団体が注目されていたのって、せいぜい2000年くらいまでだったのでその後の活動がよく分からなかったから。
他方、著者は安倍元総理に極端に批判的な立場=アベガーにいるため、兎角論理性もなく、全てはアベ元総理が悪いとなりがち。また、政治団体と宗教団体が少しでも寄付を受けたり講演に呼ばれたりさらに講演においてその団体におべんチャラを使うのもダメという社会的には非常識な要求している。
これを読んでまず思ったのは、著者は自民党に対する知識が足りないということ。自民党の党是はかつては反共産主義、今は与党にいることでしかないのだから、どんな団体であって基本的には議員は顔を出す。さらに、たかだか10万票くらいの基礎票にしかならない団体とは無数の付き合いがある。そのうちの1つの団体が政権中枢に食い込むというのはなかなか無理があるのではないかということだ。だいたい、旧統一教会に反日思想以外の日本の政治で実現したい政策なんてあるのか?この著書以上により政権判断を狂わすような何かがあれば話は別だが。

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