楷書のサイン

阪神の岡田彰布監督が14日の中日戦に勝ち阪神の監督として484勝目を記録OB吉田義男氏と並び球団歴代2位になった。この事に吉田さんは「感慨を覚えます。私自身の勝ち星などあくまでも通過点にしかすぎません。球団初のセリーグ連続優勝に挑戦するチームは岡田監督のもとで全員結束し、1戦必勝の姿勢で勝ち抜いてくれると信じています」とコメントした。

 阪神の監督は3度経験、2度目の昭和60年にリーグ優勝、日本シリーズで西武を破り球団初の日本一になっている。その年は監督として輝いたが、この年だけで引退後、背番号23が永久欠番になり、野球の殿堂にも入ったのは現役時代遊撃手としての華麗でそれでいて堅実な守りが評価された。

 京都市出身で山城高から立命大を経て阪神に入った。身長は1m60台の小柄、初対面、時の監督は「マネージャーをつれてきたのか」とスカウトに聞いた。「選手です。まあ1度プレーを見てください」スカウトの言葉にうそはなく、球さばきを見た監督は即決、その年遊撃に考えていた慶応大の遊撃手が社会人に行った事もあって1年目から遊撃に入り以後15年守り通した。

 そのための努力は尋常ではなかった。グラブは常に手放さなかった。当時食事はお膳の前に座って食べたがその際お膳の下にグラブをおいていた。捕球してから送球まで速いのが吉田さんでそのため投げる位置で捕球、そこから送球した。

 ノックは誰よりも真剣だった。その監督の下でプレーした岡田監督もノックは大事にしていて昨年監督就任後口やかましく言った事が守備力を向上させ日本一につながった。

 プロ野球選手に限らずプロのサインは流麗すぎて読めないが吉田さんは「吉田義男」と楷書で書いた。丁寧に書くところは遊撃の守りを思わせた。今年の正月、吉田さんと岡田監督はスポーツ新聞で対談、守りの重要性を確認していた。開幕して2週間、出足つまずいているのは守りの乱れにも原因があるようにみえる。岡田監督も知っているであろう1字1字丁寧に書く吉田さんのサイン。あれを指導要領にいれたらどうか。

令和6年4月16日

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?