森下のバット

キャンプの中盤に入り打者は調子を上げてきているがそんな中、飛距離が伸びないのが阪神の森下だ。岡田監督は「バットが合っていない」を理由に挙げ「あんまりボール飛ばんな。あのバットではボール上がらんと思うけどな。首をひねっている時が多いやん。俺マッチしてないと思うな。俺にはあのバット棒にみえる」。

 そのバット、森下がこのキャンプ用に特注した。大リーグで通算最多の4,250安打記録のピート・ローズという大打者が愛用していたグリップの部分が太くすりこ木型と言われたものだ。
 ローズは安打製造機と言われた。スイッチヒッターで俊足、常にヒットを心がけた。すりこ木はマッチしたが、岡田監督は「森下はローズではない」という。この話を監督が宜野座村ベンチでしている時OB の藤田平氏が横にいた。現役時代首位打者を獲得。ヒット打ちに定評があった。その人も場所を変えて会った森下に「お前ピート・ローズか」と言ったという。

 言わんとするのは森下には合っていないだ。OBの賛同を得た監督だが森下にバットを代えろとは言わない。「あいつはヘッドの重みで飛ばす打者。けど今は試行錯誤しとるのやろ。見ているとアレで1年通すつもりやないようやし、他にバットも注文しているみたい。バットは大事やからな。自分の特徴というか、自分のスイングを考えたうえで自分に合ったという感じのものが良い」。

 岡田理論には難解なところがあって選手も大変だが森下、今のところすりこ木バットに満足している。「問題ないです。バックスピンがかかって打球が上がってくれたら本塁打になりますし、かからなくてもライナー性で打球速度さえ出れば野手の間を抜けちゃう。しっかり振る事だけを意識しています」。

 キャンプ終了まで半月以上あるし、その後1ヶ月オープン戦、慌てる事はない。それにしても選手が信念を持って行動に出るようになったのは前の阪神と随分変わった。ある意味頼もしい。

令和6年2月11日

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