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キモカワの社会学

最近、「へんな動物」「ちょっときもい魚」系の、「王道じゃないしちょっとキモイ」が流行っていると思う。「わけあって絶滅しました。世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑」とかまさにそう。

何で流行っているんだろう、何で人々はこれを求めているのかって考えたときに、ダークだけど「ちょっと馬鹿にする対象が欲しいのかな」と思った。週刊誌にしろ、お笑いにしろ、王道じゃないもの/当たり前から外れるものをちょっとバカにして優越感に浸るコンテンツは結構パワフルで、日本に大きな経済効果をもたらしている。男女関係なく、「友達」と一緒に他の「友達」の悪口を言うことにリソースを使い、そのリソースに見合うリターンを得ていると多くの人が考えるほどには、その種のコンテンツの娯楽性が高い。それの一端を担っていることは大いにあり得る。

ただし、同時に、人々にとってそういった生き物/キャラクターが、「愛でる対象」にもなっている。これは週刊誌やYoutubeのコメント欄でのヘイトとは少し違う。もしかすると、そういった生き物/キャラクターを愛でるという行為を通して、「王道じゃなくても愛されていいんだ」と自分を肯定しようとしているのかもしれない。だとすると、「あらゆるカワイイがあっていい」というアナ雪系(ありのままでOK)/ Body Positivityの潮流とも言えそうだ。

「流行るもの」は鯔のつまり、多くの人が「欲しがるもの/求めているもの」である。

それを考えると、今キモカワコンテンツが流行っていることは、「バカにして優越感に浸りたい」と「ありのまま愛して欲しい」という、他人を落としながらも自分は無条件で愛されたいという、矛盾するメンタリティーが日本に蔓延しているということなのかもしれない。

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