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仕掛学は従業員エンゲージメントに応用できるか

仕事を「やりたくないこと→やってみたいこと」にする鍵は、チームにある。

仕掛学は、「やりたくないこと→やってみたいにする仕掛け」について松村 真宏教授が真剣に研究する、最近ちょっと流行りの学問である。

具体的にどんな仕掛けで人を動かすのか?彼の書いた記事を何本か読むと、例えば、小便器に的のシールを貼るという仕掛けによって、オシッコのときにそこを狙ってもらうことで、男子トイレの掃除負担が劇的に下がったらしいという研究例が載っていた。あるいは、マーライオン的オブジェの口部分に消毒液を入れ、人々が手を入れたくなる仕掛けをして、消毒液の利用を促進したとか。パン屋さんがパンの匂い、鰻屋さんがうなぎの匂いで人をお店に入れようとするのもこれに似ているかもしれない。

仕掛学が「やりたくないこと→やってみたいにする」ことをメインテーマとしているなら、恐らく多くの人々のやりたくないことナンバー1になってそうな「仕事/労働」についても考えなければならない。ある調査によると、全世界の84%の労働者は惰性で仕事に行っている。通勤電車での人々の様子を見ればこれも頷ける。

どうしたら、「仕事をやりたくない人」が、あるいは少なくともその一部が、「仕事をやりたい/やってみたい欲」に駆られるようになるのか。

Marcus Buckingham と Ashley Goodall*によれば、それは「組織図に存在しない柔軟で横断的なチームがあるかどうか」である。つまり、「〜事業部」「〜部門」ではない、自発的な動機に基づく「〜プロジェクトチーム」に関われているかが、「仕事を楽しめる」かどうかに影響を与える。 

Marcus Buckingham と Ashley Goodallの主張の中で、特に興味深かったのは、対話の場を頻度高く設けることがエンゲージメントに効くというところだ。目安は1 on 1で週に1回、「あなたの今週の業務は何ですか」と「私に手助けできることはありますか」という2つのシンプルな質問を投げかける、というもの。

横断的かつ柔軟なチーム作りと、その中での効率的だが密なコミュニケーションのための仕掛けがエンゲージメントの向上を生む。



* Harvard Business Review 2019/11月号、「チームの力が従業員エンゲージメントを高める」

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