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歴史の話

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歴史に関する記事をまとめています。主に日本の古代や戦国時代。中国の古代(三国時代)については「三国志の話」をどうぞ。
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記事一覧

【歴史の話】【お金の話】戦国時代の宅配便の料金はいくら?

 物流における「2024年問題」について、耳にしたことがありますか?  2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働は年間960時間が上限とされ、労働時間が短くなることで輸送能力が不足することを指します。  それだけでなく、ドライバーの収入が下がるという問題もあります。  それに対して物流業界は、ドライバーの離職を防ぐために運賃への転嫁を考えるわけですね。  トラックドライバーの労働環境が改善されるとともに、運送料金の値上げが予想されます。  ちなみに、「トラッ

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【歴史の話】【#読書感想文】破軍の星(北方謙三著)

概要 北方謙三先生が歴史小説のジャンルに進出してハードボイルド小説の手法を持ち込んだ、その初期のころの作品です。 余談  筆者は12月中旬に、福島県を訪問する機会がありました。  それに先がけて、何か福島にちなんだ本がないかと本棚を探したところ、この作品「破軍の星」を見つけたという経緯です。  南北朝時代初期の人物北畠顕家が国司として陸奥国に下向した際に、陸奥国府を多賀城(現宮城県)から、防衛しやすい霊山(現福島県)に移しました。  ただし、実際に今回筆者が訪れた場

【ゲームの話】【#ゲームで学んだこと】シミュレーションゲームから学んだ、ちょっと役に立つ知識

日本の地理に詳しくなる固有名詞が覚えやすい  例えば戦国時代のゲームでは、都道府県ではなく旧国名(律令制)が出てきます。  現代の都市名や鉄道の駅名でも使われるので、生活に役立つ固有名詞が覚えやすいですね。 (例)大和郡山市、安芸高田市、越後湯沢駅、武蔵小杉駅、尾張一宮駅など 同音異義語を区別しやすい  日本語には同音異義語が多いので、旧国名を覚えることは誤解や混同を避けることにもつながります。 (例)「あわおどり」 -> 「泡」踊りではなく、「阿波」踊り。 「あきのみ

【歴史の話】【お城めぐり】平成レトロのお城写真を発掘した (下)関東地方編

 今回も、ひと昔前に撮影したお城の写真の紹介です。今回は、関東地方の歴史の魅力に触れてみましょう  前回の記事はこちら。  まずは、関東地方には天守のある城が少ないという歴史をまず押さえておきたいところ。  江戸の周辺には将軍を守るための旗本の領地が多かったためです。  城を築くことが許されたのは、基本的には1万石以上の藩主と呼ばれる武士。1万石未満の武士が旗本で、城を持てなかった。  なので、関東地方では江戸時代初期までに廃棄された城跡が多く、今回は地味な記事になるこ

【歴史の話】【お城めぐり】平成レトロのお城写真を発掘した (中)四国編

 前回に引き続き、ひと昔前に撮影したお城の写真の紹介です。  今回は、四国地方の歴史の魅力に触れてみましょう。  前回の記事はこちら。   現存天守十二城のうち四つが四国に集中しているということで、一回の旅行でそれらを全て回ろうと考える城好きは多いと思います。  筆者も一度それを実行していて、そのときの写真たちになります。 丸亀城(香川県) 前回の記事で、アナログ写真時代は撮影枚数がとても少ないと書きました。このときもそうですね。  同じ日に行った金毘羅さん(金刀比

【歴史の話】【お城めぐり】平成レトロのお城写真を発掘した (上)中部地方編

 タイトルの通り、USBメモリのデータを整理したら、ひと昔前に撮影したお城の写真がいろいろ出てきました。  大きく分けて「中部地方の城」「四国地方の城」「関東地方の城」の三つに分類して、三回に分けて投稿していきます。  まず初回は、中部地方の歴史の魅力に触れてみましょう。 浜松城(静岡県) これらの画像はアナログ写真をスキャンしたものですが、日付を入れていないのでいつごろの写真かは分かりません。  筆者は2000年代ではデジカメに置き換えたので、1990年代だろうと考

【歴史の話】【#歴史小説が好き】司馬遼太郎の目を通して見る「勝海舟」

 みなさんは、勝海舟と言えば、どのような印象をお持ちでしょうか? 咸臨丸の艦長として太平洋を渡った優秀な蘭学者 坂本竜馬に国際的な物の見方を教えた開明的な思想家 西郷隆盛と会談して江戸の町を救った庶民の味方 ざっと、こんなところではないでしょうか?  勝は維新後は赤坂氷川に隠棲して、「氷川清話」という回顧録が残っています。  勝についての逸話は、つまり、勝自らが語った一方的な視点によるものが多いということも言えます。  筆者はそこに、歴史小説として書かれたときの視

【旅行記】【史跡巡り】神戸大阪一泊二日の旅

 改めて、一泊二日の神戸大阪の旅全体を振り返りたいと思います。 7/28(金) 夜、関東某所を出発する夜行バスで関西に向かいました。  目的地大阪で予約していましたが、「降車場所を神戸三宮に変更する」と運転手に伝えて乗車します。 7/29(土) 朝8時に神戸三宮に到着。某チェーン店のカフェでnoteの記事(先週の速報版)を書きました。  この日のメインエリアは「KOBE三国志ギャラリー」などがある長田区ですが、まだ時間が早すぎる。  そこであらかじめ時間をつぶすために

【歴史の話】どうする大河ドラマ

 先週書いた記事「どうするNHK」からヒントを得て、「もし筆者が理想の大河ドラマを創るとしたら、どうする?」と考えて大筋をプロットしてみました。 はじめに 拙記事「どうするNHK」では、"「新 三河物語(宮城谷昌光)」を原作にして、主役の大久保忠世役は「どうする家康」と同じ小手伸也さんを起用したら面白い"と書きました。  しかし後日筆者は考え、「小手さんはどちらかと言えば、家康役にピッタリなのではないか?」と思い直しました。  その他にも「この武将はこの役者がいい」という

【歴史の話】どうするNHK

 2023年度のNHK大河ドラマ「どうする家康」の初回放送(2023/1/8)を視聴した感想です。 はじめに ひと言で言うと、面白かったです。空想力豊かなファンタジーで、ときおり入るリアリティがアクセントになっていると感じました。 リアリティポイント1:あえて見せずに聞かせる演出  ”悪い大河ドラマ”は、主人公に関係ないイベントをすべて映像で再現してしまう。  シーンがあちこちに移動して、主人公が誰だか分からなくなる。  それを避けようとすると、史実を無視して主人公が

【歴史の話】【#読書感想文】昔作った駄作ゲームの元ネタを、20数年ぶりに見つけた

はじめに 筆者が20代のころ、当時のコンピュータゲーム制作補助ツール(アスキーの「ツクール」シリーズ)でいくつかPCゲームを作っていました。  閑つぶし感覚の駄作ばかりで、もちろん公開したり売り物にしたりしたことはありません。 ADV  一つは、「アドベンチャーツクール」。コマンド選択形式のゲームが作れるものです。  それで作ったゲームは、当時の大学の研究室の内輪ネタをてんこ盛りにしたもの。  ある年の面白い出来事が順番にやって来るのに対して、うまくコマンドを選ぶとフラ

【歴史の話】【#天体ショー】信長は皆既月食を「どこで」見たのか

 2022年11月8日の夜は好条件に恵まれ、日本列島の広い範囲で皆既月食が観測できたようですね。  また、天王星食も同時に発生しましたが、この「皆既月食+惑星食」の組み合わせが日本で見られるのは442年ぶりということで、大変珍しい天体現象でした。  この記事では、前回つまり442年前のことを考えてみたいと思います。 いつ、何を、誰が 442年前は西暦1580年。正確には「1580年7月26日」で、これは和暦では「天正8年6月15日」にあたります。  今回の惑星食は天王星

【歴史の話】【#読書感想文】ぼくたちは「農耕民族だから平和的だ」という先入観を見直すべきかもしれない

はじめに  「西洋人は狩猟民族だから好戦的で、日本人は農耕民族だから平和的」  というイメージを筆者は持っているし、同じようなイメージを持つ日本人はかなり多いのではないでしょうか。  そのイメージは、事実とは異なるらしい。  実は古代史の分野では、これから書くようなことがすでに分かっているようなのです。  さらにこの記事では、日本人の平和感に斬り込んで、今現在日本でDXが進まないことの考察まで、書いてみたいと思います。 農耕と戦争 本格的な農耕が始まった弥生時代に、本格的

【歴史の話】【お城めぐり】もう一度訪れたい日本の城

 まずは、城好きの「あるある」から。  「もう一度行くとしたらどの城に行きたいですか?」と訊かれると困ってしまいます。  まだ行ったことのない城が山ほどあるので、すでに行った城にもう一度行くよりも、行ったことのない城に行きたいからです。  それでも「あえてもう一度訪れるなら」という条件で選んだのが、以下の5か所になります。 1位:松本城 シンプルに「今までで一番良かった城はどこ?」と訊かれたら、筆者はこう答えます。  「冬の松本城。天守の黒さと雪の白さのコントラストは