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シャムネコのいるパーティー

村上ラヂオ(新潮社文庫)のシリーズをよく読む。わりあいいろいろなエッセイを読んできたように思うけれど、こんな風にウィットに富んだうっとりできるものはなかなかない。さらさらと読めるから移動中にもぴったりで、旅行時にも携帯している。
「嫌いという人は心から嫌い、不快という文章らしい」といちおう想像してみるいっぽう、私自身はたいへん快適に字を追っているのである。

次の三つが特に好きなものです。

「シーザーズ・サラダ」
「うん、こういうお店大好き」と膝を打ちたくなる。大学生のこういうギークなノリ、はたから見ると顔をしかめられそうだけど、渦中にいて楽しむ分には最高なんですよね…。

「ハンバーガー」
お腹を空かせたホームレスのお話なのにさっぱりとして明るい。レタス入りのてりやきバーガーを青空の下で食べたくなる。

「無考えなこびと」
考えが煮詰まってどうしようもなくなると研究室を飛び出てチョコレートを買いに行く同僚を思い出します。彼の頭の中でも、こびとが暴れているのかも。チョコレートを食べた後の彼はすっきりした顔で研究に取り組みます。いつも甘いものを勧めても断られるんだけどな。

こういう人になりたいとあったこともない村上春樹にあこがれる。素敵なパーティーという言葉からシャムネコのいる静かな場所を連想できる大人にどうやったらなれるんだろう。もうとうに大人と呼ばれる年齢のはずの私は考える。

何とはなしにジャズを聴きだしたのも村上春樹をかっこいいと感じたその気持ちがそうさせたんじゃないだろうかという気になってくる。

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