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一緒に冒険をする

先日、通勤途中にみつけた缶コーヒーのつり革広告がなんだか刺さっちゃいました。

“どう働くか、だけじゃなくて、どう休むか、も考えようよ。COFFEEって、ほら...OFF(=休み)の飲み物だし、ね。”

いままで働く人の相棒としての飲み物だった缶コーヒーが”休み方革命”って。なんだか時代の潮目が変わってきた気がしました。今回の推薦書“一緒に冒険をする”は奈良の図書館でひらかれたフォーラムを軸にした働き方、暮らし方、未知のものへ向かう楽しさが詰まったインタビュー集です。

長野県松本で「体に優しい食事・ヨーガや散歩などの適度な運動・心身の深いリラックス」の3つのアプローチにより、誰にでも本来そなわっている自然治癒力を高めることを目的とした宿泊施設「穂高静養園」を営む福田俊作さんは、人の意識にはどうしても「できない理由」をつくりたがる性質があって、「これが足りない」とか「こんなことできない」と、自分自身を批判する意識が働きやすい。けれども、それはできっこない現実があるのではなく、空想で「できっこない」と思っているわけだと。それを取り外していくと、自分の中のパッションがより掻き立てられると語っている。それを外す方法は「自分を批判する意識がある」と気付くことだと言い、アイラ・プロゴフという心理学者が発案した「ジャーナル・ライティング」という、書くことによって自分の進む道を確認し、探し、見つけ出していく方法が紹介されています。

また、福田さんは専門学校を出て鍼灸師として治療を始めたけど、「治療とは何だろう?」という疑問がわくようになったそうです。鍼灸を学んだきっかけは、西洋医学に抱いていた違和感からで、現代医学は対症療法で、本質的に治そうとしている印象がなく、直接的な原因がわからないからひとまず症状を取り除くことをしていて、治療になっていないと感じ、鍼灸もそれと同じ印象とあります。

そこで、納得できる治療を探しにいろいろな人たちに会いに行ってみたが、旅を終えて「これがいい」思う治療法はなかったと。治療ってなんだろう?というところに戻ると、「食事」、「運動不足」、そして「ストレス」疲労の3つに集約でき、原因になっているこうしたものを変えることが、“治療”なのではないかという結論に至ったそうです。

現在、生活習慣が原因でなる糖尿病や脳血管障害や心臓病、メタボリックシンドロームと診断された患者さんに、食事や運動をアドバイスとしては行われているが、“治療”としては捉えていないのがほとんど。しかし最近になって、運動を「治療である」という医学者もあらわれてきたそうです。

穂高静養園に、デパートで働いている女性が来たエピソードが取り上げられていて、毎日「いらっしゃいませ」と忙しく礼をして働いている人が、ここのスタッフの自然な振る舞いに接して、「すごく癒されました」と言っていたとありました。なんでお客さんに、こんなふうに頭を、角度まで決められて下げなきゃいけないのか僕はよくわからないと福田さん。深い意味のないことが、当たり前のようにまかり通って人間性を抑圧している。

“病気というのはある意味、「自分らしくない生き方をしている」という警告反応なんだと思う。”とあって、心当たりがある人は数多くいると思いました。

最後に福田さんは“病気”についてこう語っています。

「自分で解決の糸口を作り出した時は、そこに喜びや充実感がある。だから悩みや苦しみは決して悪いものではないし、病気も、悪いものではないと思う。」

日常生活では知ることのできない冒険ができる本書。ぜひ一読してみてください。

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