シェイクスピア『マクベス』
初シェイクスピア。
四大悲劇中最も遅く成立したと思しき本作だが、一番短いので入門編にはちょうどいいかもしれない。
にしても血みどろである。
スプラッター寄りの悲劇。
「きれいは汚い、汚いはきれい」と高らかに宣して戯曲は始まるが(この本では「晴々しいなら禍々しい、禍々しいなら晴々しい」)、主君を弑し、護衛にその罪をなすりつけて殺し、真相を知る者、知りそうな者を次々と手にかけるマクベスの掌は汚れる一方だ。
ある意味首謀者と言ってもいいマクベス夫人の、洗っても落ちない返り血を嘆く夢遊病的所作の凄まじさたるや。
マクベス、マルコム、マクダフと主要人物に似た名が多く、日本語だと文字数も同じでかなりややこしいのだが、後世の極東の読み手など作者の知ったことではなかろうし、そもそもこれらの人名は先行する史実に拠るものらしい。
また、「気をつけよ、マクダフに」「女から生まれた者が、マクベスを傷つけることは断じてない」「バーナムの森が、けわしいダンシネインの丘に攻め登ってくるまでは」といった実現困難な予言がどのようにマクベスの破滅に結実するのかが見物の一つなのだが、この仕掛けはシェイクスピアの創作なのかな?
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