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今の箱根駅伝5区で過去の山の神ばりに活躍するのに必要な条件

どんな走りをしたら山の神といえるのか。
界隈でよく議論されていますが、誰もが納得する結論はないように思えます。実際、見ている人々が感動して山の神だと思ったら山の神、でいいんじゃないかと思います。

ただ、過去の山の神のタイムからその条件となるタイムを導き出してみたらどうなるのか気になりました。
今回、過去の山の神たちの走りのタイムを基に、山の神になる条件を自分なりに探ってみました。


1. 参照したデータ

過去に山の神たちが他の選手たちにどんな差をつけたか、を基準に考えました。参照した値は、

  • タイム

  • タイム偏差値

  • 区間2位とのタイム差

  • 学連含む全選手の平均タイムとの差

の4つです。これは完全に独断なので、他にもっとふさわしい基準があるかもしれません。

「山の神のタイム」としては、81~83回の今井選手のタイム、85~88回の柏原選手のタイム、91回の神野選手のタイムを扱いました。92回の神野選手は区間賞をとっていないのでここでは扱いませんでした。

そして、今の箱根駅伝の5区で求められるタイムを知りたいので、距離が今の5区と大きく違う81回以外のタイムには簡単な換算を行いました。(82~88回は区間タイム×20.8km/23.4km、91回は区間タイム×20.8km/23.2km)

注)区間最下位のタイムがあまりにも他のタイムと離れていると山の神のタイム偏差値や全選手平均タイムに望まない強い影響が生じるため、区間ブービーのタイムから5分以上離れている区間最下位のタイムは考慮しないこととしました。

2. 調査結果

回の部分に下線が引かれている回は、区間最下位のタイムを考慮していません。
緑色になっている回はタイム換算を行いました。

全ての山の神のデータを平均すると、
タイムは1時間8分56秒
タイム偏差値は74.0
区間2位との差は146秒(=2分26秒)
平均タイムとの差は290秒(=4分50秒)
となりました。

3. 考察

単純な換算タイムだと1時間8分56秒となりましたが、他の条件についてまずは99回について考えてみます。

最初にタイム偏差値ですが、99回でタイム偏差値74.0をとるタイムは1時間7分23秒です。
99回で区間2位(この場合、本来区間賞の城西大学山本選手)との差を146秒つけるには、1時間7分38秒で走る必要があります。
99回で平均タイムとの差を290秒つけるには、1時間8分9秒で走る必要があります。

いずれにせよ、非常に難易度が高いです。かつて現コースで1時間9分台で走った選手がいないのに、神になるには最低8分台が必要になってきます。

99回は条件が悪くなくタイムも出た大会だったので、差をつけるのがより難しくなったのでは、と考えました。そこで、近年の中で条件が比較的悪かった97回ではどうなるかについても考えてみます。どうやら100回大会は条件が悪い予報らしいので、こちらのほうがより近い結果になるかもしれません。

97回でタイム偏差値74.0をとるタイムは、1時間8分31秒です。
97回で区間2位(この場合、本来区間賞の帝京大学細谷選手)との差を146秒つけるには、1時間9分26秒で走る必要があります。
97回で平均タイムとの差を290秒つけるには、1時間9分36秒で走る必要があります。

97回の条件の場合、1時間9分40秒を切れば過去の山の神ばりの活躍ができていただろうと考えられます。つまり、条件の悪い中であろうとも本来の区間記録は更新しなければなりません。結局99回と同じくらい難しいのかもしれません。

戦国化や高速化が進んでいますので、他の選手に圧倒的な差をつけることが難しくなってきているはずです。新たな山の神の誕生は、かつてよりも起こりにくくなっているのは間違いないでしょう。


これだけデータをいじっていろいろ考えましたが、ある選手が山の神かどうかは、誰かが自分みたいにExcelで遊んで決めるわけではありません。自分でもこの考察に意味があるのかわかりません。ですが、何かの参考になったらいいなと思います。

そして、もし今回出した条件に満たない選手が山の神だといわれても、「自分は認めません」などと言うつもりはありません。結局は最初に述べたとおり、見ている人々が山の神だと思ったら山の神、でいいと思っています。(その「見ている人々が山の神だと思う条件」を数値化や断定ができたら理想的ですが、自分には不可能です)

以上になります。読んでいただきありがとうございました。


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