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【自分のスタイルに合った就活を考える】企業の採用マーケティングを学生100名に解説(宮城大学 講義レポート)

こんにちは、No Companyの広報担当です。今回は2022年12月13日(火)に代表の秋山が講師を担当した採用マーケティングについての講義をレポートでご紹介します。
マーケティングリサーチやブランディング、販売促進などを学ぶ宮城大学 事業構想学群の学生約100名に対し、企業の採用市場におけるトレンドやキャリア選択についての授業を行いました。後半にはゲスト2人を交えて、「就活・キャリアの本音」トークも展開しています。

講師紹介

高山 純人
宮城大学事業構想学群講師/マーケティングプランナー

宮城県出身。1982年生まれ。2004年より一貫してマーケティング業務に従事。近年は新規事業開発コンサルティングを主戦場に、
事業開発時のリサーチ~事業ビジョン策定/プロダクト開発などを行う。
大学での研究領域は、オンライン消費者行動が中心。

秋山 真
株式会社No Company 代表取締役社長

新卒で入社したスパイスボックスで、数年間のデジタルマーケティングプロデューサーの経験を経て、2018年に採用コミュニケーション事業を立ち上げ。SNS起点の採用ソリューションを開発し、企業のオンライン採用やDXを支援。2021年に博報堂グループで唯一の採用マーケティング支援会社である、No Companyを設立。「スタイルマッチで組織と人を変えていく」をミッションに、働き方や価値観の多様化に合わせて、企業の採用活動が進化できるよう独自のSNSデータ分析ツール「THINK for HR」を活用し、採用ターゲットに刺さる施策の立案と実行をサポートしています。

講義が目指すゴールとアジェンダ

当日は約90分間の授業を4つのセクションに分けて進行しました。目指すゴールは、最新の採用トレンドや各企業の取り組みを知ることで、自分たちの「ありたい」「なりたい」姿を改めて考えられるようになること。採用マーケティングの知識も紹介しながら、「自分のスタイルに合った働き方」を見つけていくためのポイントを解説しました。

講義のアジェンダ

  1. 今日の講義テーマ「スタイルマッチ」

  2. 企業の採用とマーケティング 最新情報

  3. 活躍する社会人が語る「就活・キャリアの本音トーク」

  4. まとめ・アンケート

①今日の講義テーマ「スタイルマッチ」

近年の採用活動において各社で特に重視されているのが、企業と働く人の「スタイルマッチ」です。スタイルマッチとは、お互いのスタイル(個性や価値基準)をもとに求職者と企業が選び、選ばれる関係になっていくことを指します。企業と求職者が最も幸せになれる就職・転職のあり方として、私たちNo Companyは「スタイルマッチ採用」を推進しています。

学生の皆さんは、就活でいろいろな会社を見るときに、仕事の内容や給与、給与、働く環境に加えて、そこで活躍している人たちのスタイルや価値観が気になることも多いのではないでしょうか。その会社のスタイルが自分に合っているかどうかで、入社後のモチベーションや仕事へのやりがいが大きく変わってきます。

スタイルマッチが必要な背景として、4つの要因があげられます。1つ目は、若い世代を中心にした人材不足と転職回数の増加(人材の流動性)。求職者のニーズが多様化しているので、それに合わせた人材獲得が年々難しくなっています。2つ目に、採用ルールの廃止と新卒採用の早期化・長期化。3つ目には、ミレニアル・Z世代の働き方やキャリアの変化があげられます。

そして4つ目は、オンライン採用での採用手法やメディアの多様化です。現在の採用活動においては、従来の採用サイトだけではなく、SNSも活用しながら求職者とのタッチポイントをつくっていくことが大きなテーマになっています。

No Companyでは、SNSのビッグデータを解析しながら人々のキャリア観や価値観、口コミなどを見ていますが、例えばコロナの前後で比較すると大企業やベンチャーに対する印象が大きく変わっています。求職者の視点では、最近の産休育休について、制度だけではなく現場理解とカルチャーが重視されています。実際に産休育休を体験した方々のリアルな“声”に、SNS上で共感が集まっているということです。

企業側の視点では、事業、商品、ブランドだけでは差別化することが難しいので、実際に働いている方々の思いに共感してもらおうとするコンテンツが増えています。私たちNo Companyでも、求職者(ターゲット)を分析しながら、採用担当者と一緒に「スタイルマッチ」を引き起こすための取り組みを進めています。

(参考)スタイルマッチを引き起こすための取り組み

企業ではたらく人の想い・価値観を発信する(KDDI株式会社)

はたらく人の声を聴き、インサイトを把握する(パナソニック株式会社、note株式会社)

企業のパーパスに対する、社員の考えを発信する(パナソニック株式会社)

組織ビジョンを言語化する(株式会社メルカリ)

②企業の採用とマーケティング 最新情報

人材不足が進んでいる近年の就活市場においては、優秀な人材を採用するために採用でもマーケティングが必要になってきています。自社の価値を言語化し、ターゲットが見ている媒体を選び、最適な情報を発信していく。「採用マーケティング」と呼ばれ、注目を集めています。

採用情報メディアにおいても、2020年から加速した採用活動のオンライン化により、求職者のエントリー以前のタッチポイントが、SNSやWEBメディアに分散するようになりました。その結果、各企業は幅広いメディアでの情報発信に力を入れています。

採用マーケティングの現場では、この図(上記)を見せながらコンサルティングを行うことが多いのですが、ターゲットである求職者に向けて、どのタイミングでどの情報を届けるのかを設計していきます。例えば、学生の皆さんにその企業を「認知」してもらうときには、どの媒体でどんな情報を届けるべきなのか。さらに、そこで興味を持ってくれた人に、より詳しい情報が掲載された採用サイトを案内するなど、各フローにおける最適なコミュニケーションを設定していきます。

このような採用マーケティングの構造を理解し、各企業の狙いを把握することで、皆さんの行きたい企業や業界がどこでどのように情報を発信しているのか、わかるようになります。各企業の「スタイル」を理解し、就職活動を有利に進めることにもつながるので、採用マーケティングの知識をぜひ習得していただければと思います。

(参考)大手ナビサイト以外で、積極的な発信をする企業

No CompanyではSNSのビッグデータを解析して、SNS上で若い世代に注目されている企業、団体・組織200社をまとめた調査データ「Z世代の注目企業2022」を公開しました。大手の就活サイトなどではあまり見かけないような企業も数多く掲載しています。気になった企業についてHPで調べながら、どんな人たちが働いているのかを知ることで、自分のスタイルに合う企業と出会える可能性が広がるのではないでしょうか。

③営業プロデューサー・経営戦略など、それぞれの視点から語る「就活・キャリアの本音トーク」

授業の後半には、「学生時代」「就活」「ファーストキャリア」の3つのテーマについて、ゲスト2人を交えたトークセッションを行いました。

パネリスト紹介

小谷 哲也
株式会社スパイスボックス 経営戦略室 室長/ 株式会社No Company 事業戦略室・広報室

幅広い業界業種のクライアントで、デジタルマーケティングの戦略設計・プランニング~エグゼキューションまで従事。近年はSNSを起点にエンゲージメントコミュニケーションの設計を多数実施。採用領域においては、世の中/学生のSNS・WEB上のビックデータを用いてターゲットインサイトを分析、データ起点で企業が共感される採用コミュニケーションの戦略立案〜実行支援を多くのクライアントで行う。

岩下 想
株式会社No Company プロデューサー

新卒で物流企業に入社し、現場の倉庫業務効率化を図りながら新卒採用責任者を担当。採用の楽しさを感じつつも日本の採用課題を肌で感じ、人材会社に転職。大手企業からベンチャー企業など約100社の新卒採用支援を担当。クライアントや求職者により寄り添うような採用方法を模索しているときにNoCompanyと出会い、入社を決意。
主にエンタープライズ領域を担当し、独自のソーシャルリスニングツールである『THINK』を活用し、ターゲット層に合う採用広報の戦略立案から運用までを行っている。

——学生時代のことから聞きたいと思います。就活に向けてどんな準備をしましたか?

小谷:地方の大学に通っていたので、もっと広い世界を知りたいと思い、アメリカに短期留学しました。その後も、東京で開催されている大学のイベントやワークショップの情報をSNSで見つけて積極的に参加するようにしていました。そのなかでとにかく意識していたのは「地方」という壁を突き破って、広い世界から見たときの「自分」を客観視すること。自分が大事にしている価値観ともしっかり向き合って、それを言語化することに注力していましたね。

秋山:成長のため物理的に場所を変えるのも、ありかもしれません。東京出身の岩下さんはどうですか?

岩下:私も学生時代は、自分は何が好きなのか、やりたいことは何なのか、嫌なことはどんなことなのか、など自分を客観視することに取り組んでいました。「モチベーショングラフ」などを活用して、自分が小学校から大学に入るまでにどんなモチベーションで生きてきたのかを分析していましたね。大学1、2年の段階でもっとやっておいた方が良かったと感じているのは、社会人の方々にたくさん会うことです。日々のリアルな仕事内容は、Webだけではなかなかわかりません。先輩の話などを聞くなかで、自分にどんな仕事が向いているのかわかったり、「この企業面白そう」と興味を持ったりすることもあるので、積極的にコミュニケーションをとった方がいいと思います。

秋山:ちなみに高山さんは、学生時代にどんなことに取り組んでいましたか?

高山:私の学生時代は、大学のいろいろな先生と一緒にご飯を食べたりするのはもちろん、自分でいろいろなイベントを開催したりしながら、100人ぐらいの経営者と名刺交換していましたね。一人と仲良くなると、知り合いを紹介してもらえるのでネットワークがどんどん広がっていきます。面接の練習にもなると思いながら、いろいろな人と会うようにしていました。

小谷:たくさんの人と会うのはもちろんですが、新たな体験によって自分の可能性や「スタイル」を見つけることもできると思います。例えば、私は元々人前で話したりすることがとても苦手だったのですが、着ぐるみのアルバイトを経験したことで、自分のマインドが大きく変わりました。大きな身振り手振りで、子どもたちと思い切り遊んでいるうちに、それまでの苦手意識やネガティブな思い込みが全部吹き飛んだのです。自分の「個性」に疑問をもっている方は、ぜひ新たなことにも挑戦してみてほしいと思います。

——2人は企業の採用活動にも携わっていますが、学生はどんなことを企業に発信するべきなのでしょうか?

岩下:私は元々人材業界の出身で、大手企業からベンチャーまでたくさんの企業の新卒採用をお手伝いしてきましたが、各社の採用担当者が学生に求めているのは「自分の言葉で思いを伝えられること」です。学生の皆さんは、ガクチカや自分の強みなど、いろいろ考えながらエントリーシートを書いていると思いますが、誰かのまねをしてカッコよく書かなくても大丈夫です。それよりも、今までどんな経験をして、課題をどのように乗り越えてきたのか。そして、過去の体験を会社でどのように生かしていくのか。自分の「スタイル」をわかりやすく伝えられることが大切です。

秋山:採用担当者の皆さんからも、エントリーシートや面接で出てくる答えは「一緒過ぎて分からない」という声はよく聞きますね。ただ、自分のオリジナルや独自性をつくりに行っても、唯一無二って結構難しいと思うんですよね。どこかで絶対にかぶってきますが、そのときに何が差別化になるかっていうと、自分の解釈や感じたこと、いわば「スタイル」ではないかと。普段話している人や着ている服が違うので、絶対自分なりの解釈が出てくるはずです。

小谷:「受け手」にならないことが大事ですよね。新卒でどこかの企業にエントリーするときに、ある程度時期などが決まっていますが、行きたい企業であれば今から就活をスタートすることもできます。つまり、「自分を採用してください」と提案することも本来はできるんです。「受け手」にならず、「この企業を受けたい」という思いを前面に出して就活に取り組んだ方が、企業側はポジティブに受け取ると思います。私も面接官をすることがあるのですが、そういう積極的な求職者に興味を持ちますね。

——ファーストキャリアについても教えてください。新卒で就職先を決めたときの理由や背景は? 

岩下: No Companyを含め今までに4社経験していますが、1社目から「自分の力を試せるかどうか」という基準で働く会社を選んできました。わかりやすくいうと、自分に裁量権があって「これをやりたいです」と思ったことが実現できる環境です。自分から何かをやりたいと思ったときにモチベーションが高まるので、それを重視していましたね。それと併せて、成果が自分のキャリアや報酬のアップにつながっていくのかも見ていました。そして最後は「人」ですね。周りと協力して目標を達成できる会社かどうか、一緒に働きたい人がいるかどうかが、決め手になっています。

秋山:1社目から就活の軸がぶれていないのはすごいですね。小谷さんはどうですか?

小谷:私も就活の軸は「人」に近いですね。現在所属しているスパイスボックスは、合同説明会で話を聞くまで全く知らなかったのですが、そこで出会った人たちがすごく魅力的でした。見た目でいえば、スキンヘッドの人がいたり、奇抜でスタイリッシュな人がいたり、iPadを持って説明しているような。「何この会社」と最初は面食らいましたが、実際に話してみると情に厚い側面などが見えてきて、働いている人たちの「スタイル」にどんどん引き込まれていきました。

また、デジタル技術がどんどん伸びていく時代だったので、事業成長の波に乗っていくことでキャリアが広がっていく可能性を感じていました。「ここに入ると自分の個性が花開きそう」という期待感がありましたね。就活で迷ったときには「人」×「キャリア」の2つの軸で考えるのもいいかもしれません。

秋山:高山さんは就活について感じていることはありますか?

高山:就職で後悔しないように早めに準備しておくことが一般的には推奨されていますが、70歳まで働くことが珍しくない長い人生において、1社目にそこまでこだわる必要はないと思いますね。私の場合も新卒で入った会社は、日々のゴミ捨てやトイレ掃除を自分たちでするような本当に小さな会社でしたが、自分の「スタイル」に合わせていろいろな経験を積めました。そこから30代になった今、好きな仕事を楽しめています。まだまだ若い学生の皆さんは、価値観をどんどん広げながら自分の「スタイル」に合った就職先を選べるといいかなと思います。

④まとめ・アンケート

授業の終盤には、学生の皆さんからチャットで寄せられた質問にゲストの2人が答える場面も。

実際に講義を受けた学生の皆さんからいただいた意見・感想もいくつか紹介します。

自己分析、自分の型を破る方法、企業に対するアプローチ方法、どれにも一つの正解なんてなく、様々な面白い選択肢、行動があるんだということを学びました。

就活について思い悩むことが多々あったのですが、講義を通してもっとライトなものに変わりました。焦らずに就職に向けて自分なりに頑張ろうと思います。

色んな就活スタイルが聞けて良かったです。

就活の際に、企業側の採用マーケティングを理解することから自分のスタイルに合った就活を考えるという発想を知る事が出来てよかったです。

自分に合った企業選びを実現するためには、まず自身のスタイルを知り、ありたい姿・なりたい姿を言語化して発信していくことが大切です。そして、企業の意図や目的、採用の構造など「企業のスタイル」を知ることで、「自分のスタイル」に合った会社を選べるようになります。キャリアを考える上でも重要なポイントなので、ぜひマーケティング思考を身につけていただければと思います。

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