見出し画像

「がん」という言葉に、コミュニケーションで選択肢をつくる

※2023年現在おやすみ中

「がんを治せる病気に」活動するNPO法人deleteCで、2022年5月からプロボノとして活動をすることになりました。

deleteCについて知ったのは2年ちょっと前。活動開始と同時期から知っている、ということで理事をはじめ、みなさんから驚かれたのですが、せっかくなので経緯と思っていたことについて書いておこうと思います。罹患本人でも専門家でもない立場からのがんの話です。


ちょっとだけ、「がん」が身近だった学生時代

私が大学4年生のときに、近親者が「子宮頸がん」であることが判明しました。

もともと、”がん家系”という意識でいたので驚くことではないと頭ではわかっていたものの、まだ稼ぐ力も大してない学生の自分には、当事者でもないにも関わらず、それは素直にとてもショックな出来事でした。

当時いちばん救いだったのは幸いにも周囲の方に状態を共有できたことだったのですが、その一方で感じたのは、「どうしよう、この件どうやって話しても暗い話になるぞ」ということでした。


「がん」という単語がもつ、独特な重さ

無知な大学生だった私にとって「がん」は、単語だけで重々しい空気に包まれるような、そんな存在でした。それは私だけでなく、周囲にいる同世代の友人みんなにとっても同様だったようです。

友人は機知に富んだ人物が多かったので、ただただ話をきいてくれるということばかりでありがたかったのですが、とはいえ私自身がこのテーマについてどのようなテンションで会話をすべきか、とても悩みました。

がんはステージによって、全く重さが変わります。ただ、「いつ重たい状態になるかわからない」という不安を、本人も周囲も持ち続けることになるし、それに配慮してコミュニケーションをとらねばならないというのも、こわさのひとつだと感じました。

そんな周りのありがたい気遣いが見え透くからこそ、まだまだ未熟な当時の私には「ぎこちなくても、とにかく明るく振る舞う」以外の選択肢がなかったのです。

幸いにも、私の近親者は治療をひと通り終え、今ではすっかり日常生活に戻っていますが、このとき「がん」という言葉がもつ、”なんだかよくわからないけどこわい空気”にどう対処すればよかったのか、なにか糸口がないかと思っていた頃に出会ったのがdeleteCでした。


選択肢がないと、”いつもどおり”が難しくなってしまう

社会人になり、コミュニケーションを考える仕事に就いてから、何かを伝えたいときに<「なにを」「どのように」>伝えるか明確に分けて考えることが多いのですが、大学生当時を思い返すと<「がんを」「???」>という状態だったなと感じます。

それは、世の中にあふれる情報が<「がんを」「重々しく」>語るものばかりだったからというのは、少なからずあったと思います。私は、自分自身が「重々しく」語りたいわけではなかった、というのが当時の本音でした。

じゃあ、なんで「重々しく」語りたくなかったんだろう?

それは、がんを罹患した本人が「重々しく」語りたくなさそうだったからだと思っています。そして当事者も私もきっと同じで、相手がいつもどおりでなくなってしまうのが、ぎこちなくなってしまうのが、嫌で切なかったから、「重々しく」以外の語り口を探りたかったのです。

私がdeleteCの活動を知るきっかけになったのが、サントリーさんのC.C.Lemonからロゴが消えた画でした。

Cを消すだけでがんの話ができるって、どんなに「ポップな」コミュニケーションなんだろう。そう思ったことを覚えています。


CSA=カジュアル・ソーシャル・アクション

deleteCは「CSA=カジュアル・ソーシャル・アクション」と称して、みんなの力でがんを治せる病気にすることを目指しています。

それは、「めっちゃ詳しい誰か」だけでなく、あくまでも、「ちょっとでも知っているみんな」が、いつもの暮らしのなかでできることを頼りにしているプロジェクトであると、解釈しています。

社会に対してなにかをしたいとおもうとき、難しい話を難しく大衆の前で話すことだけができることではないと、個人的には思っています。

”Cを消す” そんなシンプルなことを、これから色んな方と企てられたら、とわくわくしています。


「子宮頸がん」については、NHKでも特集をしているので「よくわからない…」な方はぜひこちらご覧ください☺

2022年度から厚生労働省によるワクチン勧奨も再開され、平成9年度生まれ~平成17年度生まれの方を対象に「キャッチアップ接種」も始まりつつあります🌟


この記事が参加している募集

広報の仕事

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?