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第六章 開始①

一哉が安奈の卓に座り、何やら安奈と言い合っている姿が見える。

「すいません、白ください」

あたしは、そんな二人を尻目に一発目となるシャンパンを頼んだ。


コールが始まり、一哉があたしの卓へと戻ってきた。

「安奈から聞いた。意味分かんないんだけど」

一哉が言う。

「一哉くんは気にしないで。これは、ブリリアント対マチルダの問題だから」

「へ……?」

「とりあえず、飲も!乾杯♪」

シャンパンを、一気に飲み干す。

「美味しいね、一哉くん!」

「梨紗ちゃん……マジでいいから。金、もったいないでしょ?何の為にオレ、店来なくていいって言ったか分かんないよ」

「金なんて遣う為にあるんだから、いいのよ別に」

再びシャンパングラスに注がれた二杯目のシャンパンも、これまた一気に飲み干した。


マイクコールで、あたしにマイクが向けられた。

「もう一本ください♪」

なんて、言ってみた。

盛り上がるホスくん達。

楽しいね、やっぱ!

安奈が遠くでこちらを睨んでいるのが分かる。


「梨紗ちゃんってば……」

一哉が、隣に座りあたしを見て呆れ顔だ。

「これ以上は頼まなくていいから。怒るよ?」

「怖い、一哉くん。何で怒るわけ?売り上げ貢献してるのに」

「安奈と対決する為だろ?そんなくだらない事、やめろっつうの」

なんて言い合っているうちに、二本目の白があたしの卓へと運ばれてくる。

そして、またシャンパンコールだ。


乾杯をして、それもまた一気に飲み干すあたしなのだった。

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