気遣いの押し売り

たまに話題に挙がる「変なマナー」の話。

「不動産では、おじぎしているように見えるようにハンコを押す」みたいなのがよく回ってくる。不動産業界では普通なのかもしれないけど、その業界に居なければ「こいつハンコ曲がってるじゃねえか!」と怒りの原因になる可能性すらある事柄だと思う。

というかこの「おじぎハンコ」もどこまでが業界の常識なのかわからない。業界の中でも一部の人しか使っていないのであればそれはただのローカルルールだ。どこかの営業マンが「この曲がったハンコは、課長に向けて「宜しくお願いします」の意味を込めておじぎを現しているのです!」とか言ったのを課長が気に入り、広め始めたのがきっかけではと勝手に邪推している。

ヘンなマナーってあるよねってTwitterでつぶやいてみたら、知人から「マナーじゃなくて気遣いって思えば?」と返ってきた。

思えない。

「相手のためを思ってやりました」は、裏返せば「自分が良かれと思ってやりました」だと思う。裏には自分のエゴやら独自解釈が潜んでいる。ビジネスマナーで考えた時、そんなものは害悪以外の何者でもない(人によるかもしれないけど)。

なんでそんな話になったかというと、以前の会社の上から「先方の名前は行の先頭にくるように改行する」と言われたからだ。曰く、それが「気遣い」なんだそうだ。つまりこういうコトらしい。

お世話になっております。■■です。
先日ご連絡頂いた件で、
【先方】様へデータを送らせて頂きます。


僕は聞いたコトがなかったし、そのメールをもらった時にも「読みづらい」しか感想が出てこなかった。気遣いってそういうコトなんだろうか。例えばこれが業界のルールなのだとしたらある程度は納得するけれど、僕は業界に居てそういうメールをもらったコトは無かった。

と考えれば、これは当人のオリジナルマナーというコトになる。なら真似る必要は無いと、僕は完全にシカトした。メールなんて極端な話、読みやすいかどうかだろう。要点がわかりやすくて、非礼がなければいいと思っている。

これを先の知人は「基本的に相手のためのことしかないはずだ」と言う。相手のためを思うなら変な改行すんなよとしか思わなかったので、つまりこの知人とも話が合わないのである。

マナーの真贋の見極め、最近難易度が上がっている気がする。

自分の常識が世間の非常識であるなら、その逆の可能性も考えろという話。


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