積木ノアラ

詩人、ライター /エキサイトblog/ https://noaratsumiki.e…

積木ノアラ

詩人、ライター /エキサイトblog/ https://noaratsumiki.exblog.jp/

最近の記事

『コンパス』

夜店で買ったコンパスは 判り切った眉唾物で ちっとも回らないコンパスで 開いた地図の上 僕のメッカは成り行き任せで 麻痺した日常が手招きしている 不機嫌なシャイニーピンクのガーベラ 僻むプランターの下敷きのナメクジ そこまでの今日でも コンパスはちっとも回らない 終わっても平気だって 揺れながら嗤ってるんだ ©noara tsumiki

    • 『あの人の煙』

      雲の切れ間から 一本の光り そこに重なる 一本の煙り 緩やかに空に昇る 誰かが望んでいなくても きっとそれは本当のコト ボクが悲しんだって キミが耳を塞いだって それは変わらない本当の真実 一本の煙りは空に昇る 涼しい風が煙りを散らす 見事に散らす 騒めく樹樹の木漏れ日 なんてやさしいんだろう ©noara tsumiki

      • 『遠景』

        あの夏は 色彩のない ぎこちない絵のように 押し入れの隅っこで 丸まったまま ©noara tsumiki

        • 『冬の雨』

          雨 冬の雨 傘は? キミの足音 ただずっといたかった それだけだったのに 冬なのに、雨

        『コンパス』

          『風』

          外からの風 扇風機の風 団扇の風 猫が通り過ぎた風 少し埃っぽい夏の風 思い出の風 風鈴チリン。 ©noara tsumiki

          『ある日の朝、蓮の咲く音』

          独りで雨を見ていたら 僕はツブツブになっていく キラキラ光った ツブツブになった僕は やるせない気持ちで いくつものアブクになる 通り過ぎた人達 通り過ぎた時間 アブクになった僕は 通り過ぎたあの日を少し思い出す そして、ハヂケる 蓮の開く音と一緒に 僕は消えた 思い出の中のあなたも ハヂケて消えた ©noara tsumiki

          『ある日の朝、蓮の咲く音』

          『父さんへ』

          とっても青過ぎる空を スッと駆けていった白い雲の下 笹の葉っぱに乗せて 虚ろな小川に流した蝉の脱け殻 ボクが摘まんだ蝉の脱け殻 それはボクが摘まんで 壊してしまった蝉の脱け殻 それはきっと 壊れてしまった父さんの輪郭 ボクが壊してしまった 父さんの思い出 ©noara tsumiki

          『父さんへ』

          『ある日の舗道』

          背高のっぽの大人たち 小っちゃな僕等を すっかり追い越して ずっとずっと ずっと遠くの彼方まで あっ、と云う間に 行っちゃった ©noara tsumiki

          『ある日の舗道』

          『ボクがいなくなった日』

          ボクが消えたら その後には何が残るの? ボクが消えたら 溜め息さえ残らないの? ボクが消えたら キミのことを憶えているのかな? ボクが消えたら 掌の温度も 心の拍子も 死んじゃうんだね ©noara tsumiki

          『ボクがいなくなった日』

          『汐風』

          汐風って 少ししょっぱい 時が経つと 少し甘酸っぱい ©noara tsumiki

          『白い画用紙』

          誰も足跡を付けていない 初雪の朝みたいな 真っ白い画用紙 その上に 一番最初に置く色 ドキドキして 思った色と違っていた 流れに任せて 色を塗る 後に戻れず どうしようもなく 色を塗りたくる 何枚も何枚も色を塗りたくる 気が付いたら 真っ白い画用紙 残り僅か ©noara tsumiki

          『白い画用紙』

          『遅くなったプレゼント』

          涙の雨 溢れ過ぎた そして湖が出来た その上を スルスルと滑って行く やがて後ろに残る たくさんの丸 その丸を全部集めて ペパーミントキャンディーを作った すっかり遅くなったけど ボクからキミへの 最初で最後の ほんの気持ちの 小さなプレゼント 雲の上の キミへのプレゼント    ~みっちゃんに捧ぐ~ ©noara tsumiki

          『遅くなったプレゼント』

          『小さなボクの場合』

          ほら、ここに在る小さなボク コレが見つからないように 土に埋める 埋める だけど小さなボクは息をする だからきっと誰かに見つかって 土を硬く踏み固められてしまい 夜には泣きそうになるんだ 思い切り泣いてしまうんだ ほら、ここに在る小さなボク コレが見つからないように 土に埋める 埋める ©noara tsumiki

          『小さなボクの場合』

          『とっておきの嘘』

          金魚鉢に集めた夢は カラスが啼いたはずの 夏の灼けた夕暮れ時のもの 硝子の風鈴は鳴らなくて 線香の煙が揺れるだけで 誰の声も気配もなくて ボクの心臓の音だけ響いて 柱時計も死んじゃって 空に浮かんだまんまの 動かない白い綿雲も 裏山でざわめく緑の葉っぱも みんな嘘つきで お祈りしている あなたのやさしい後ろ姿と 部屋の片隅で遠くを見つめる猫 きっと、独りでも大丈夫なんだ ©noara tsumiki

          『とっておきの嘘』

          『マジョリカの破片を集めて』

          見知らぬ風が部屋の扉を叩く 夕暮れの公園の喧騒が大嫌い 何処かの窓辺からピアノのC# 傷付いた子供の金切り声 掛け替えのない時間の その最後の言葉たち まさぐるようなやさしさ 古びた階段の踊り場に 不似合いなマジョリカ 木っ端微塵に砕け散った あの時のキミみたいに溜め息ばかり で、サヨナラ 破片を集める血だらけの左手 真夜中の壊れた思考回路 誰にも言えない幸せ で、サヨナラ ©noara tsumiki

          『マジョリカの破片を集めて』

          『白い猫』

          灼けたアスファルトが 足にくっ付く そして途方に暮れたボク その横をスルりとすり抜けた、白い猫 あの日ダンボール函にいた、白い猫 ©noara tsumiki