奥村くみ

アートアドバイサー・アート中之島ディレクター・ビューイングルームこぉとオーナー 「ア…

奥村くみ

アートアドバイサー・アート中之島ディレクター・ビューイングルームこぉとオーナー 「アートと暮らすを軸に生活を考える」をテーマにあれこれ綴ります。

最近の記事

美しいという言葉の封印をとく時

かれこれ15年近く前のこと。NYアート旅の最中にひょんなことからアートフェアでの接客をすることになりました。仲良しのギャラリストと作家が出展しているのでそのお手伝い(もちろん裏方)に立ち寄ったはずが、オープンニングのどさくさに巻き込まれ、そのまま作品の前に立ち、やってくる人々に対応することになったのです。 アートに興味津々のニューヨーカーたちを相手に突然のこの展開。 無理無理! できる訳ない! 作品コンセプトを説明するなんて! しかしそんな不安はすぐにどこへやら。来る人

    • センスって言葉使っていいですか?

      突然ですが、私はセンスの良い人を心底羨ましいと思うし、なんなら嫉妬するくらいです。お金持ち、容姿に恵まれている、なんてことにも、もちろん羨ましいという気持ちは抱くけれど、そんな感情を強く持っていたのは若い頃の話。歳を重ねると自分のあるべき場所、あるべき姿に折り合いをつけていくものですから。しかし、未だセンスの良い人を羨ましいと感じるのは、センスならなんとかなるんじゃないか、なんて思っているからかもしれません。持って生まれた分(ぶん)と違い、努力やらなにやらで後天的に補うことが

      • 記憶の箱を開けてみると

        3冊目の本を執筆していた半年間は、過去の出来事を思い出し整理することに多くの時間を費やしていました。今回の本のテーマは「本の本」けれど当然ながら書評ではありません。私にそんな大それたことはできる訳ない(笑)。内容はといえば、今までの人生で読んできた本とその時々どう関わってきたか、そしてそれらにまつわる自身の想いなどを綴ったもの。そんな訳でこのところずっと記憶の海を漂っていたのです。 前職であったインテリアコーディネーター時代の話も多く出てきますが、その時期の記憶はあるような

        • 作品に一票を投じるということ

          インテリアコーディネーターとして働いていた時、内装の相談にのり、アドバイスをするといった業務と同じくらいウエイトの大きかったのが”物販を売る”という役割。”物販”とはつまり家具やカーテン、照明器具などなど。ハウスメーカーにアシスタントとして入ったばかりの頃は、先輩方の見事な売りっぷり(あ、失礼、仕事ぶり)に惚れ惚れするばかりでした。 当初は高額の品を売ることに慣れなくて、まごまごしていたけれどそれらはお客様にとって必要不可欠なもの。なにせテーブルやベッドといったアイテムは生

        美しいという言葉の封印をとく時

          見られる覚悟

          先日、すっかり定宿化しているあるお宿で、ちょっとばかり不愉快な思いをしました。旅館の方が失礼だったとか、部屋に不満があったという内容ではありません。ただ視界に入った見知らぬ人相手に、私が勝手にモヤモヤしていただけに過ぎないのですが。 そこはとても居心地のよい旅館。長年通ううちにすっかり顔馴染みになった仲居さんも何人かいらして、その方たちとのやり取りも食事の時の楽しみの一つです。こっそり彼女たちのことを”裏女将たち“なんて呼んでいるのだけれど。 さてそんな夕食時のこと。少し

          見られる覚悟

          選んだり、書いたり、考えたり、、、

          はじめまして。もしかすると、これを読んでくださっているということは、もう私を知ってくださっている方かも。けれどブログからnoteへとちょっとお引越し感があるので、そこはやっぱり「はじめまして」から始めたいと思います。 はじめまして、と枕詞がくるからには自己紹介が必要。もう何度も聞いたという方、ごめんなさい。今一度お時間くださいね。 私はずっと某大手ハウスメーカーのインテリアコーディネーターとして働いていました。ある時、日本のインテリアに足りないのはアートだと、強い何かが降

          選んだり、書いたり、考えたり、、、