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小寺の論壇:今年平面磁界型ドライバがヘッドホンの主流になる?

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中国のオーディオメーカーEdifierから、同社のハイエンドヘッドホン「STAX SPIRIT S3」をレビューしてくれないかということで相談を受けた。

そうはいっても、1年前に発売のモデルである。今からメディアに掲載することは厳しいと一旦はお断わりしたのだが、聞いてもらって感想だけでも、ということで、試聴機を送ってもらった。15時間ほどエージングが終わって、聴き始めたところである。

「STAX SPIRIT S3」は、実勢価格約5万円ということで、昨今のワイヤレスヘッドホンの中ではまずまずの高級クラスになるだろう。昨年のレビューではなかなか評判もよく、「VGP 2022SUMMER金賞&企画賞」を受賞している。

「STAX SPIRIT S3」

ポイントはいくつかあるが、ドライバが平面磁界型であるところが1つ。またワイヤレスでロスレス伝送/ロッシーハイレゾ伝送ができる「Snapdragon Sound」に対応しているところが大きい。なおSnapdragon Soundは伝送するスマホ側の対応も必要なので、筆者の環境ではまだこれでは聴けていない。今年リリースのスマホから徐々に対応モデルが出てくるはずである。したがって本当の評価はまだこれから、というヘッドホンだ。

おそらく今になってレビュー依頼が来たのは、この夏、平面駆動のヘッドホンが出てくるからだろう。今回は平面駆動ドライバにまつわるお話をしてみたい。

■STAXとコンデンサースピーカー

Edifierは、1996年に北京で創業したオーディオメーカーで、ベンチャー企業というわけではない。筆者も全然聞いたことがないので、おそらく創業当初はEdifierというブランドは使っておらず、中国企業名だったのだろう。現在のEdifierの中国名は「漫歩者科技」だそうである。

Edifierが日本で知られたのは、2021年に創業25周年記念モデルとして販売された「NeoBuds Pro」が最初だろう。当時まだ珍しかった、ソニー以外のLDAC対応イヤホンで、クラウドファンディングで1万円程度で購入できたため、人気が出た。

今回のヘッドホンに「STAX」の名前が入っているのは、Edifierが2011年に日本のコンデンサー型平面駆動ドライバで知られる日本のSTAX社に出資し、親会社になったからである。方式は違うものの、平面駆動の代名詞として日本ではよく知られているSTAXの名前を使ったということだろう。

ちなみに英語サイトではSTAXの名前は使っておらず、単に「S3」となっている。

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