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小寺の論壇:サチリ始めたポータブル電源、みんな「面白さ」を間違えてない?

知財、IT産業、ネット、放送、買ったもの、ライフハックなど、コデラの気になるところを語ります。


昨年12月にポータブルバッテリーとソーラーパネルを購入したことで、ニュースアプリやSNSにやたらとポータブルバッテリーの広告が出るようになった。筆者もバッテリーのレビューを頼まれるようになった関係で、誰かが書いた広告原稿にも目を通すようになった。

とはいえ、ポータブルバッテリーなんてそんなに各メーカー間の差はない。バッテリー容量が決まれば出力容量も決まる。あとは価格と重量で用途が決まるだけの話である。

だが広告となれば、なんとしてもメリットを訴求しなければならない。それをなんとかかんとかひねり出しているわけだが、同業者ながら気の毒になってくる。まあぶっちゃけ、書くことがないのだ。

だから車に積んだりキャンプに持っていったり、色々なシーンでAC電源が使えるという内容になっている。メーカーも数を売りたいので毎年積極的に新型を投入し、広告出稿もあるわけだが、ライフスタイルはそれほど劇的に変わるわけでもない。普段使いの家電製品が劇的に使いやすくなるわけでもない。

防災用品としての切り口はあるが、5万円から10万円出して備えても、電力が保つのはほぼ1日ぐらいだろう。そもそも災害時に、普段通り電気を使おうとすること自体がどうなのかという話もある。

筆者が考えるに、バッテリー単体を取りあげて面白さを語るには、無理がある。そもそも系統電力から充電して放電するだけでは、そこにはロスが発生するので、電力効率としては落ちている。「毎日使える」は「毎日無駄遣いしている」のと同義だ。

■「発電」こそが面白いのだ

ポータブルバッテリーを語る際には、ソーラーパネルとの組み合わせ効率で考えるべきだ。ここに筆者宅の過去2年間の電力消費データがある。九州電力のサイトから確認できる、昨年同月との比較である。

筆者宅の2年間の電力消費状況

上のグラフの濃い青色が2022年度、薄紫が2021年度のデータだ。2023年の1月からソーラーパネルとポータブルバッテリーの組み合わせで、毎日ベランダで発電した電力をポータブルバッテリーで受けつつ、同時に仕事用機器で消費するというサイクルで動かしつつけている。

4月から11月までは、概ね2022年度のほうが2021年度を上回っている。2021年度は子供たちが中学生ということもあり、部活動に付き合ってあちこち連れて行ったため、土日休日はほぼ家に居なかったからだろう。2022年度はそれがなくなり、家に居る時間が増えた。つまり増えた分のほとんどは、エアコンの連続運転時間だと思われる。

それがソーラーパネルで発電を始めた1月から3月、均等に使用電力が下がっている。つまりこの差が、ソーラーパネルで発電した部分というわけだ。電気料金のグラフを見ても、昨年の水準よりは下がっている。その差としては月額2,000〜3,000円程度だが、年間で考えれば2万4,000円〜3万6,000円程度は節約できることになる。

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