短歌おきば 2022-11/12

夜をかけて並べし影の思ひ出にながむばかりの秋のともしび

吹きつるる冬の朝風見し色のなごりやすらふ池のつはぶき

草の原つゆをかたみにすず虫のふればさびしきよよの面影

窓暗き雨の長夜の雲とぢて月は知らじな袖の露霜

ゆく末も千世をつぐみの声晴れて峰たのもしき曙の空

大銀杏木の葉くだけて散る果ての冬風かろき寺の夕暮

夜の星に見し面影をかぞへつつ末はててゆく年をしぞ思ふ

鐘の音に年は送りぬ見し春も秋も昔の空はかへらず


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