短歌おきば 2021-05

惜しめども春の別れと暮るる夜はかへしてぞ寝む花染めの袖

花とのみなに頼みけむ茂りゆく夏の蔭もる鶯のこゑ

うたたねや花を形見の夢さめて風はみどりの香にぞ吹きける

あやめ咲く小野のかみ辺の川の瀬の鳥遊ぶ夏こころして経よ

うつつにも長き夢路のさめかねて啼きたつ鳥もまぼろしのあと

五月雨の露のよすがにあぢさゐのよひらの色をみがく月かな

人見ずやまどかに浮かぶあぢさゐの花のこころにニュンペは踊る

吹きかよふ夏の梢の音かへてかつ降り晴るる風の天雲

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