短歌おきば 2022-04/05

めぐり逢ふと見し間にもろき桜花ふる春ごとに添へる涙か

雪と散る花のなごりを先立てて木の下陰は著莪盛りなり

ひさかたの月夜しづけき春の池の波にあまぎる花の浮雲

やすらはむ春のいくかの跡とめて雲うちにほふ藤の下風

暮れかかる春の入日の影さびて香ぞなつかしき藤波の庭

うたかたの花なごりなき夏川の波さし渡る若葉風かな

春越えて降りもまがふか夏の丘の星と雪とのゑごの花かげ

吹きはるる朝の若葉の露落ちてなごりも青き水底の影

春遠く木の下闇に声はして形見ゆかしき夏のうぐひす

夏風のブルンフェルシア咲けばかつうつろふ世にも香こそしるけれ

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