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NETFLIX『サンクチュアリ~聖域~』の感想

どうも、こんにちは。
アーティストのノブです。

今回は話題のドラマ『サンクチュアリ』を拝聴させていただきましたので、これについて語ろうかと思います。
全部で8話あり、1話あたり約1時間となっています。
軽くあらすじを話しますと、
主人公の少年は不良であり、喧嘩が強いが貧乏な家庭で育っています。
母親にも逃げられ、父親との二人暮らし。父親はケガで定職につけず、逃げた母親が借金をしつづけているため、その借金返済の催促がたびたび父親の方へ来ています。
ある日主人公のケンカが強いことが噂されているためか猿将親方にスカウトされ、親方は財布に入った札束を見せつけます。貧乏な環境にいる主人公はそれを見て、お金を稼ぐために相撲部屋に入門します。
だけど相撲部屋では稽古もろくにせず、兄弟子にも歯向かい、部屋の内外でも問題児を起こす嫌われ者となり、次第に周りからのいじめもエスカレートしていきます。その中でも天性のずば抜けた身体能力を見せつけ、新人戦で優勝決定戦まで勝ち上がります。しかし、鍛錬してきた兄弟子に相撲では勝てず、いろんな挫折を経て次第に主人公は真摯に相撲と向き合い始める。
といったストーリーになります。

こちらの評価点は80点です。

面白いは面白かったです。ですが、矛盾点みたいなものも見えて、のめりこめなかった部分も含めてこの点数にさせていただきました。

ここから先はネタバレになりますので見てない人はこちらを見てから読んだ方がいいかもしれません。


良かった点

相撲という難しい設定の中で人気を得た
相撲というなかなか難しい分野にチャレンジしています。
相撲は日本の国技ではありますが、日本のドラマや映画の中で名作とよばれるものに相撲はありません。
しいて言うなら『シコふんじゃった』くらいではないでしょうか?
ですが、『シコふんじゃった』は学生相撲で主人公は当時人気絶頂の元アイドルの本木雅弘を採用してますし、学生なので体型もそこまで太っているキャラがでてきません。
しかし、今回は大相撲です。関取の中で細身の体形をしている人など存在せず、言い方が悪くなるのですが、見た目だけで言えば太っている人ばかりがいる世界でもあるのです。
一般的に太っている人に抱く印象として清潔感がないというのが挙げられ、たくさんの人が見たくなるような要素の一つに清潔感は大事な役割を果たします。
正直な話、見た目が太っている人ばかりが出るドラマを見たいと思う人は何人いるでしょうか?
おそらく、少ないと思います。
しかし、今回は大相撲が舞台です。
必然的に太っている人たちがたくさん出てきます。
もちろん実際の力士はデブではなく、脂肪の下には筋肉隆々のバリバリのアスリートではありますが、見た目だけでいったら太っている人と変わりません。その中で話題となったこと自体が凄いのです。
そして、主人公を演じる役者は一ノ瀬ワタルという元格闘家の俳優で体つきを見てもそこまで違和感のない体をしているので絶妙な配役と言えると思います。

主人公の共感を得る工夫。

視聴者を惹き付けるには主人公への共感や主人公の愛され力が絶対と言っていいほど必要になってきます。
しかし、この主人公は不良で礼儀も知らない、稽古もしないというキャラで、嫌われ要素がたくさんあり、主人公には致命的な側面を持っています。普通はこんな登場人物を応援したくはなりません。しかし、なぜ人気になったかというと、この主人公にいろいろと共感、同情してしまう工夫を周囲に施しているからです。

まず、父親が怪我をしていて定職もつけず、貧乏である事。
母親がろくでもなく、借金を今も作り続けて父親と息子に迷惑をかけつづけている事。
兄弟子たちの主人公に対するいじめが陰湿できつい事。
キャバ嬢といい関係になるもひそかに主人公の大金の入った財布をとり、尚それ以降も知らん顔して仲良くしているろくでもない女性であること。
タニマチになった若い男がろくでもない男であること。
などなど。
主人公よりもひどい奴らが周りにいることによって主人公に同情、共感しやすい状況をつくっているのです。
こういう部分はドラマを作りたい人たちにとっては大きな勉強になるのではないかな?と思うような設定の上手さを感じました。

女の子のエロ加減が絶妙。

ビジュアル的に清潔感があるストーリー状況ではないのでそれを補うものに必要なのはやはりお色気。別にお色気じゃなくてもいいのですが、女性向けに作られた作品でもないのでそういうのはあった方が本作のビジュアルのバランスを取るには良い気がします。
寺本莉緒さんというグラビアアイドルで女優さんが演じているホステスの七海の話し方が可愛くて、胸も大きく、男性にはたまらないキャラ。
しかし、このドラマのいいところはエロ要素が安易ではないという点。
胸を出してこれで男は喜ぶでしょ?こういうの見たいでしょ?なんていう演出はなく間接的にエロを取り入れている点が素晴らしく、そこらへんのバランスが良かったです。

取組の臨場感。

相撲の取組はスローになる場面を多く使っています。しかし、汗の飛び散り方や張り手に対する顔の肉の動き方、衝撃の伝わり方などすごくリアルで本当にやっているんだなとリアリティを視聴者はすごく感じます。そして近くで取り組みなど見れないのでそこもまた新鮮さを感じますし、相撲の凄さを伝えたいというドラマスタッフたちの熱量も伝わる演出とカメラワークになっています。

兄弟子引退が感動。

ケガの影響で小結までしかいけなかった主人公の兄弟子にあたる猿谷の引退。相撲に詳しい人には当たり前のことかもしれませんが、相撲の知識がない人間にとって部屋で引退式を行うというのは知らないことでした。
だから相撲の世界を少しだけこのドラマを通じて知ることができたのは大きな収穫です。そして、このシーンを見ながら猿谷を通じて現実にはこうして数えきれない力士たちが部屋でひっそりと断髪式を行われていたんだなと思うといろいろと込み上げるものがありました。

相撲界の背景のドス黒さがリアリティを感じる設定。

実際にあるかどうかはわからないけれどありそうだなという絶妙な黒い部分を突いているし、その回を見た時のゾッとした感覚とそれを描いたこのドラマに対して少しニヤついた自分がいました。
その描写というのは岸谷五朗演じる龍谷親方の部分です。龍谷親方は
元横綱でもあり、角界でもかなりの権力を持ち、息子は将来有望な大関の龍貴である。その中で龍谷部屋にタニマチ(後援をしてくれる人)の"伊東"という謎の老人が実は裏でいろいろと手を使って龍貴の周りを嗅ぎつく邪魔な記者を脅して黙らせていた。しかし、その正体は新興宗教組織の会長で、その人に龍谷親方も心酔している描写がありました。
現実でもあの事件以来宗教団体に対しての話題はずっと尽きないのですがそれ故に、すごく現実にありそうな背景にすごくスリリングを感じました。

次はデメリットも少しだけ紹介します。

ダメな点

主人公の周りがひどすぎ。

これは主人公自体が愛されるキャラではないが故に、やらなければいけない事でもあるのですが、周りに出てくる奴らが嫌なやつばかりです。
極道の世界ならまだ許容範囲ですけど、さすがにこれはやりすぎだろうといういじめの描写などもあり、あまりにもやりすぎなので同情するよりも嫌悪感が強まってしまいました。

主人公の成長が大雑把。

ドラマの範囲の中で急成長をしなければいけないのはわかるが、もう少し段階があっても良かったと思います。
例えば、不良で誰にでも生意気な態度をとっていた主人公が初めて親方に「稽古をしてください。」と頭を下げるシーンがあります。
しかし、人はすぐには変われない。
そしてそれをするときには自分の中で葛藤が生じる。
そういう葛藤が描かれていないと思い、すごく主人公の成長スピードに違和感を感じてしまったのです。
例えば「稽古してください。」とすぐに頭を下げるのではなく、「稽古をしてくれ…。(いや…)稽古をしてください。」少しワンクッション入れるだけでも少しだけリアリティが出るのではないかと思ってしまいました。
もちろん、尺などいろいろ知らない問題もあったのかもしれませんが…。

やりすぎな描写。

主人公が怪物と呼ばれる静内と取り組みを行った際に静内の張り手によって左耳がちぎれるという事故が起きます。
それによって主人公は一時的にトラウマに陥ってしまうのですが、さすがにそれは相撲界でも起きていない異例の事故なので"やりすぎ感"がありました。漫画「刃牙」なら理解できます。しかし、それは今までの設定自体も現実離れしているために理解できるのであって、ある程度リアルな世界でこれはさすがに違和感しかありませんでした。
それに耳がちぎれなくても、脳震盪でもトラウマは描くことができたはずですし、さすがにやりすぎているかなと感じました。

配役の違和感

これは相撲界というなかなか難しい世界ではあるから仕方のないことかもしれませんが、岸谷五朗や松尾スズキなど元横綱、大関の配役に違和感を感じました。それは演技が下手とかそういうのではなく、彼らは実績もあるし、演技に文句などつけることもできないが、体型という部分でいや、こんな小さい、細い親方はいないだろうと違和感を感じ、うまく感情移入ができませんでした。龍貴という大関もマゲの似合わなさなど違和感を感じていたのでそこらへんはうまくできなかったのかな?と思ってしまいました。

個人的にダメな点をあげてしまいましたが、それ以上にストーリー性だったり、役者の演技や迫力のある描写というものが凌駕する作品になっています。おそらく最後まで読んでくれた方は見ているでしょうけど、改めて確認するためにもう一度見て楽しめるのもネットフリックスのいい所ではないでしょうか?

最後までご拝聴ありがとうございました。



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