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異常 アノマリー



昔読んだショートショートの中に
地球が太陽を周る軌道の反対側に、もう一つの地球があって
まったく同じ顔、同じ名前の人たちが住んでいるというのがあった。
宇宙に出て帰ってきた宇宙船が、反対側に着いたのだ。
無事「自分たちの地球」に帰ることになってすれ違う宇宙船を見ながら
「あいつめ俺の妻を」とか思う、というオチであった。

その作品の頃には「マルチバース」なんて言葉はなかったのではないかと思う。多元宇宙ということばはあったかもしれない?

小松左京は、とんでもない設定の中で
実際の社会組織はどう動くのかを徹底的に書いたけれど
この作品もそういう感じだ。

三か月という時間を隔てて帰ってきた同じ飛行機に乗る
全く同じ人々がいたとしたら、誰がどう動くのか。
飛行機に乗っていた243人はどういう目にあわされるのか。
またそれが
アメリカだけでなく中国でも同じように
正体不明の同一飛行機に乗った同一人物が乗っていたとしたら。

同一人物がいるので
それぞれの家には皆帰宅しており、誰も抗議したりしないのだ。


読みそこなっていて返却日が近づいたので
図書館のスタバでできるだけ読んで返そう と思っていたのに
あまりにも面白くて、持ち帰って来てしまった。



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