見出し画像

「しじま」

 「しじま」という言葉を見つけて驚いた。
知らない言葉ではないのに、使ったことがなかったことに。

「冬の星座」という唱歌の中に
「もの皆憩えるしじまの中に」という歌詞がある。
星座は「しじま」の中を巡るのである。

世界一星が見える という場所には、ネオンなんかないそうである。
映像しか見なくても、ネオンきらめく街には音が溢れていそうである。

夜中にゴミを出しに行くときにオリオンを見たかもしれない。
確かにとても静かであったが、寒かったので
星はちょっとだけ見てさっさと家に入るのが常であった。


私の生活に、静けさはない。
長田弘の詩の世界は、私の生活にはたぶんない。
「黙っている」ことはできても
音がしない空間に身を置くことができない。
あまりしたことがない。
テレビはつけっぱなしである。つまらない番組ばかりだと思ったら
映画を見たり、YOUTUBEにしている。

読書に良い音楽 なんてのにして、海外の風景を時々見る。
「トラムの旅」みたいなものである。

しじまの中に身を置かないから人として成長しないのかもしれないし
自分と向き合えなかったのかもしれない。
ごめんなさいね ということである。(誰に対して?)


ふと手に取って「しじま」という言葉を見つけたのは
内田也哉子さんの本である。
びっくりして買ってしまった。
本は基本図書館を利用して読んでいるから、久しぶりの購入であった。


静寂と無縁の生活の中で
知っているけれど使わないような、美しい言葉を
たくさん見失ってしまっているのかも知れなかった。

この記事が参加している募集

今こんな気分

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?