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友達は作るものじゃなく気付いたらなっているもの〜堀川高校との交流授業 【週刊新陽 #101】

先週、京都市立堀川高校の1年生、約40名が来校されました!

堀川高校は「探究」の先駆けとして有名で、私も2015年に一度訪問したことがあります。大学生顔負けの研究にのめり込んでいる生徒さんが印象的で、自分の好奇心や問いから学びがスタートすることの大切さをあらためて感じたのを覚えています。

今号は、京都と札幌、直線距離で1000km離れた高校の1年生同士の交流レポートです。

京都と札幌の高校生が出会うまで

宿泊研修で札幌に訪れる班がいるので生徒交流しませんか?と、堀川高校の飯島先生からご連絡をいただいたのは昨年11月。新陽高校の新しい取り組みや「堀川の探究」とは違う探究学習のアプローチに興味を持ってくださったとのこと。

本校では生徒主体で宿泊研修を運営し、国内5コースに分かれて事前学習や行程シミュレーションを重ねて現地研修を迎えます。
個々の興味関心に即した探究課題や現地の社会課題を持って現地に赴き、ネットや文献では分からない現実を五感で感じ取って思索を深めてほしいと思っております。現地の若者と交流したり意見交換したりすることで、次代をともに担う仲間を増やしてほしいという希望もあります。

堀川高校・飯島先生からいただいたメッセージ抜粋

新陽でも、生徒に異なる地域や文化の同世代と出会ってほしいと考えて修学旅行やオンラインでの交流も行ってきたので、この機会も「ぜひ!」と準備が始まりました。

日程が決まると、堀川は北海道コース主担当の川部先生、新陽は1年次メンターで地域連携など外部交流も担ってくれている川崎先生が連絡を取り合い、当日までのプロセスを進めてくれました。

  • 2022年11月 飯島先生より交流のオファーをいただく

  • 2022年12月 堀川の生徒が札幌での自主研修の計画を作成し、新陽の生徒がそれを見てフィードバックする

  • 2023年 1月 堀川と新陽の教員チームでオンライン会議を実施

  • 2023年 2月 堀川の生徒がインターネットベースで新陽についてリサーチ

  • 2023年 3月 新陽の生徒が交流会用”センスの良い”質問づくりに取り組む

そして迎えた3月9日当日、札幌は快晴。良い1日になりそうな空でした。

仙台コースに同行中の飯島先生に送った当日朝の写真

ホスピタリティ発揮のチャンス

とうとう堀川の生徒さんたちが来る日とあって、朝からなんとなくそわそわする新陽の生徒たち。1時間目が始まる9時前に体育館に集まりました。

9時すこし過ぎに到着した堀川の生徒さんたちは20名ほど。初めての場所、初めて会う人たち、しかも新陽の生徒は200名近くいる、ということでワクワクよりも緊張のほうが勝っていたのではないでしょうか。

はじめに、川崎先生から会の趣旨や進行スケジュールが説明され、さっそく交流スタート!

まずは「絵しりとり」でアイスブレイク。しりとりになるように絵を描いていき一番たくさん続いたグループが勝つシンプルなゲームですが、各地域や学校にまつわるもの、という縛りがあって意外と難しそうでした。

川崎先生が「どうやったらみんなが仲良くなれるかなと思ったとき、Eテレのクックルンがヒントをくれた。『どうしたら友達ができるの?』と子どもに聞かれたクックルンは『遊んでたら友達になるよ!』って言ってた。だからまずは一緒に遊ぼう。よーい、はじめ!」と言うと、一斉に絵しりとりを始める生徒たち。

4〜5人の新陽の生徒に対して1人の堀川の生徒という組み合わせですが、あっという間に溶け込んでどちらの学校の生徒か分からないグループもあれば、よそよそしい中にも互いを気遣うような様子のグループも。でもどこも制限時間いっぱい盛り上がっていました。

次は各校の代表者によるプレゼン。

新陽の生徒からはおすすめグルメや観光スポット、お土産など札幌市についてと、学校の特徴や単位制についての紹介を。ちなみに実はこのプレゼン、前日ぎりぎりまで修正し続けたもの。堀川の生徒さんたちに札幌や新陽を知ってもらいたい、楽しんでほしい、という生徒たちの思いを感じます。

堀川の生徒さんは「堀川高校の探究基礎」というタイトルで3年間の探究学習を説明してくれました。「DIVE→HOP→STEP→JUMP」の段階を踏みながら主体的に学んでいて、自分たちの学びに充実感を感じているのが伝わってくるプレゼンで、新陽の生徒も真剣に聞いていました。

堀川の探究の定義は「答えの用意されていない問いに自分なりの答えを導き出す営み」

休憩時間を挟んで、交流授業のメインは「質問合戦」と「質の高い問いを生み出すグループワーク」。事前に準備していた質問をしながら、みんな前のめりで相手の話を聴きます。どのグループも会話が途切れることなく、いつの間にか距離が縮まっていたのが分かりました。

最後に、2時間一緒に過ごしてみてどうだったか、両校の違いや共通点を感じたか、質問の質は高められたか、など、振り返りの対話をして交流授業は終了です。

そのあとは通常授業を堀川の生徒さんたちが見学。高校生が他の学校の授業を見る経験はあまりないことなので、新陽での授業の様子やPBLの活動に興味津々。最初は遠慮がちに廊下から覗いていたのですが、それに気付いた新陽の生徒が声をかけるとどんどん教室に入っていきます。

机の並び方も珍しかったようで「いつもこうなんですか?」と聞かれ、多くの授業で4人ずつの島型になっていることやそのねらいなどを説明すると、「先生、うちもこれやってみたい!」と川部先生に提案している生徒さんも。

新陽の1年生は昨年12月にホスピタリティについて学んでいます。ホスピタリティとは「思いやり」「おたがいさま」「相手のことを思って行動を変えること」。堀川高校との交流で、発揮するチャンスをいただきました。

すっかり仲良くなって連絡先を交換する生徒たち

先生も仲良くなりました

今回、北海道コースを引率し新陽に来てくださった川部先生松尾先生。午後の自主研修に出発した生徒さんたちを見送ったあと、お二人に感想を聞かせていただきました。

川部先生は、事前に新陽は「定期テストない」「チャイムならない」「服装や髪色自由」と知って、ご自分にとってはどれも当たり前に「ある」ものだったのでどうなっているのか想像がつかなかった、と。(注:服装は校則で自由化したのではなく、コロナ対策の中で私服も可としています。)

また、生徒さんたちはすぐにTikTokを見つけ、「どうやって撮ってはるんやろ?」「堀川だったらどうなるんやろ?」と言っていたらしい。

そして実際に来てみた感想は、生徒たちのコミュニケーション力の高さと言ってくださいました。

「みんな堀川の生徒たちにフランクに話しかけてくれましたよね。本校の生徒の中で特に人見知りの生徒がいたんですけど、新陽の3人の男の子たちに声をかけられて笑顔だったのを見て嬉しかったです。」と川部先生。

ちなみに川崎先生もその場に居合わせていたらしく「あの子たち普段そんなに積極的でもないんですけどね(笑)。きっとお互い頑張ったんですね〜」と、こちらも嬉しそうでした。

「生徒さんら、ほんまにあったかいですね。」と仰ってくださったのは松尾先生。実は授業見学タイムに先生方と私が一緒に歩いていると、ある生徒が「校長先生〜、堀川の生徒さんたちがどの教室見ていいか分からないみたいで困ってるんですよ。どうしたらいい?」と聞いてきました。「それはどうにかしてあげてー。ホスピタリティ発揮するチャンスでしょ。」と返すと、「え〜〜」と言いながらも、戻って廊下にいた堀川の生徒さんに声をかけていました。

「あの時も、なんとかしてあげたいという気持ちを感じました。それに、どうしたらいいの?と校長先生に素直に言えるのもすごい。」

短い時間でしたが、今回、先生同士の交流ができたことも貴重でした。特に川部先生はこれまで川崎先生と準備を進め、私も何度かメッセージをやりとりしていたので「ようやくお会いできましたね!」と対面を喜び合い、「次は京都に伺います!」と再会を約束。

なお、この日は宿泊研修の4日目だったので「お疲れではないですか?」と聞いたところ、「昨日ジンギスカンを食べたので、生徒も僕らも元気です!」と松尾先生(笑)。堀川の先生たち、パワフルでした!

堀川の松尾先生、川部先生と新陽の川崎先生
「楽しかったですね!」と笑顔

【編集後記】
最初に「堀川高校っていう学校の生徒さんたちと交流するよ」と伝えた時、新陽の生徒たちは「京都_堀川高校」とネット検索して出てきた情報にびっくり。「偏差値が高い」とか「探究がすごい」という情報がたくさん出てきたからです。「話、通じるかな・・・」「バカって思われるんじゃない?」などザワついていたようですが、当日、実際に会ってしまえば高校生同士すっかり仲良くなっていました。
ちなみに、この日の夕方、二条市場でお土産の買い物を終えた堀川生徒さんが藻岩山にどうやって行けばいいか困っていたところを帰りがけの新陽の生徒が偶然見かけて案内したというエピソードも生まれたようです。

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