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体罰を使わない子育て・教育

体罰や暴言を使わないで子育てや教育をする方法、の情報をまとめたいと思います(追記していく可能性があります)。
ここでは、親子のコミュニケーション・パターンができてしまう前の、乳幼児の子育てや教育のことを中心に書きます。

体罰や暴言を使って育てられ自分も体罰を使っていたけれど止められた人。
体罰や暴言を使って育てられ、体罰や暴言を使わないで育てた人。
体罰や暴言を使わないで育てられたけれど、体罰や暴言を使ってしまった人。
既存の書籍に書かれている方法やアンガーマネジメントなど様々な方法をいろいろ試したけれど、体罰や暴言を止められなかった人。
体罰や暴言を使っていた人を、止めさせた経験のある人。
国内外の文献で、これは役に立つという本を知っている人。

コメント欄やFBのメッセンジャー、メール  takeda@jace-pom.org

などで情報提供していただけませんか?

体罰や暴言なんて考えられない、使わないのがあたりまえでしょう?
という人は今回はパス。
止めたいのに止められない、と思う人を中心に、
止めさせたいのにどうしていいかわからない、という人にも役に立つようなできる限りシンプルな情報を集めてまとめたいです。

体罰や暴言が前提だったけれど、段階的に、あるいは何かをきっかけにピタッと止めた、というような実例を集められないかなあと思います。

実は、
1)厚生労働省「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」による
「体罰等によらない子育てのために ~ みんなで育児を支える社会に ~」

https://www.mhlw.go.jp/content/000598146.pdf 

という冊子が、令和2年2月に出ているのですけれど、
どちらかというと公的な性格の「現状の解説書」なので、当事者である体罰や暴言を使っている人が、この冊子を読むことは少なそうです。そして、もし読んだとしても実践できないのではないかなあと思いました。

また、
2)アンガー・マネジメント(怒りのコントロール法)を勉強したり
 下のリンクを参照すると、いろいろな研修会があるようです。有料でも止めたい。と思う人向けですね。ただ、子どもを抱えた親が研修に通えるか、というと、現実的には難しい家族が多いかもしれません。


3.「叱る依存が止まらない」(村中直人)でしっかり「叱ってしまう」メカニズムを勉強して、「叱る」を自分から手放す方法を研究したり
 解説が、なぜ、叱ってしまうのか、という多くの人の気持ちを「ああ、そうだったのか」とすっきりさせます。ただ、どんな本でもそうですが、さっと読むだけでは「理解」にとどまって、実践に移すのは難しいので、時間をかけて「どうすればいいか」を読みこむ必要があります。こちらに書かれている解説の一部が、私の『教育相談』(学文社)という本の中に書かれている体罰の図の解説と多く共通していて、とても共感できました。ベストセラーになっていますので、ぜひ手に取ってみてください。

叱るを手放す/権力者であることを自覚する/求めているあるべき姿が本当に相手のためか考える/叱る人と叱られる人がともに「ありたい姿」をみつけていく


4)乳幼児とのコミュニケーションの仕方 を一から具体的に学んだり、

親向けに、体罰や暴言だけではなく、日常生活の作り方、環境設定、会話全般について、本質的なことが、幅広く丁寧に、しかもわかりやすく書かれています。タイトルだけだと、「体罰や暴言予防に使える本」とは思えないかもしれませんが、最強の「おいしいレシピ」です。
読むだけでも目からうろこだと思います。ただ、料理も同じですが、「レシピ」を読んだだけでは「作れない=実践できない」こともあるので、実際にやってみることです。たとえば、こんなことも書いてあります。

・ネガティブな関わりを増やす意外な原因
・叱ることがあれば、環境か発想を変える。
・生活の仕方は叱らない
・感情を切り替える・コントロールする力
・「早くしなさい」を言わない親になる
・叱責する習慣をつくらない

本書では、解決策が、話し方を変える、レベルではないのです。
日々の生活のちょっとした工夫によって関係性が変わることを具体的に書いてあります。この本が効果的であるということは、筆者の高山静子先生が、保育士になろうとしている18歳からの大学生たちを見事に保育環境を看取ることのできる保育士に育てていくことで実証されています。
 目的が、子どもとの良い関係を作ること、だとしたら、この本一択です。

5)体罰によらない子育ての書籍(検索するとたくさん出てきます)を読んだり、「叱り方」のハウツーを学んだり、

こちらの本の内容は、習慣化・自動化されるように、本を読んだらロールプレイで何回か実地演習してみて、その上で家で子ども相手に実行して、というプロセスが必要になるかもしれません。料理や水泳と同じですね。そういう意味ではかなり具体的に書かれている本です。ワークショップに参加したり、何人かで一緒にやってみたりするといいですね。

環境を作る/落ち着く/気持ちに理解を示す/聞く・考えさせる/代わりの行動を教える/一緒にやってみる/待つ/ほめる 

さて、いくつか挙げてきましたが、
繰り返してしまう過食とダイエットについて、たくさんの書籍や動画や情報や薬があるのと同様に、村中先生の本にあるように、
叱ることは、日本人の多くの大人たちにとって、簡単には止められない「依存」になってしまっているのでしょうか。

でも、北欧で、人々が体罰を用いなくなったという実例があるのですから、
日本でも、誰でも、不可能ではないはず
です。それに、苦しい思いをしている子どもたちがいるのだから、なんとかして大人たちが変わって、止めなければならないのです。

先の著作の著者である高山静子先生は、
「社会的強者」中心のまちでは、子どもは育ちにくく親は口うるさくなる。
と指摘しておられます。本当にその通りですね。
日本中の大人たちがこんなに不寛容になってしまったのは、個人の性格の問題ではないからでしょう。

環境を変えていかなければなりません。
でも、とりあえず、目の前の子どもと親の関係を変えていくために、


まず、日本の場合は、

1.体罰や暴言によらない子育て・教育が効果的である(体罰や暴言を用いる子育ては一時的な恐怖によるもので、持続的な有効性がないばかりか、子どもを脳や心を傷つける)と知る人を増やすこと
そして、子どもの育ちにとっても大人にとっても使わない方が良い結果になると知ること。

から始めなければなりません。
日本では、7割の人が、「体罰は必要」と思っているのですから。
「強く言い聞かせて子どもを変えよう」とするのは学校の先生も同じですね。常識、を変え、価値観を変え、文化を変えなければなりません。

ここの部分を広報していくことが何より大事になるでしょう。
結婚するときや妊娠したとき、産前産後などの機会に学べること、
大学の授業や幼小中高の授業で、日頃から、体罰や暴言がない教育がなされていることも大事です。

そして、

2.体罰や暴言によらない子育てが自分にも可能であると知ること。
そして、体罰を使わないと、自分も心地よく過ごせるということきづくこと。

3.体罰や暴言によらない子育てをしようと思うこと(強い決意が必要な人もいるでしょう)

4.具体的な方法を学ぶこと。
 
周囲の協力を得ることが必要な場合もあると思います。
 子育てはあなた一人でするもの、できるものではないのですから。

5.うまくいかなかったときやわからなくなったとき、弱気になったときに話し合える仲間や、サポートやカウンセリングの機会があること。


6.うまくいっていることを、喜べる仲間がいること(夫婦がそうだといいですね。もちろん、うまくいくこと自体が、自分にとっての報酬になるんですけれどね)

7.体罰や暴言によらない子育てが、周囲を見渡した時に、日本で「あたりまえ」になっていること。「誰もが公正にまんなかにいられる社会」になること。

子どもに近い位置にいる女性は、
もしかしたら「そうしたい」と思うかもしれないのですが、
子育てに日常的に関わっていない男性や「社会的強者」は、
もしかしたら、「そうしたい」とさえ思わないかもしれません

(これも日本の価値観、文化的な背景があると思います)。

それに、そうしていると気づかない人も大勢います。
(録音したり、ビデオに撮ってみたりして、後で冷静に見てみると、大変なことをしているということがわかると思いますが、それでも気づかない人もいるでしょう)。
「相手をなんとか変えたい」という熱い思い、が前面に出るからです。

・・・その方法が問題なんです。

だから、体罰なしでも人の行動を変えることができる、ということを、
まず実感してもらうことが必要で、
それは小さな子どもの頃からの感覚として持っているのがいいのですけれど、現在の大人たちはそういう感覚を持っていないことが多いので(家庭や学校で叩かれたり、怒鳴られたりして育った人も少なくないと思います)、そこから取り組んでいかなければならないでしょう。

人と人とは年齢や経験に関わらず、対等であり、お互いに尊重されるべきであり、どちらかがどちらかを罰するという関係ではなく、対話の中で互いの立場を理解しながら、共に成長していくものであるということ。

対立する意見に対応することによって、むしろ自分が成長することができるということ。

自分の誤りに気づいたときに、自分を必要以上に責めることなく、責められることなく、変わればいいと知っていること。

体罰や暴言によらないで人とつきあえるようになる、子育てできるようになることは、自分がそうされてこなかった人にとっては大仕事です。

たとえば、2—3歳の赤ちゃんは社会のルールを勉強中。
当然、自分のやりたいことをやりたいと主張して、できないことがあるとかんしゃくを起こすわけです。それがこの年齢の正常発達。順調な成長なのです。

そんなときに、
「この子を(権力者であり、責任者である自分が、自分の思う通りの)良い子にしなければならない」と思うか
(上下関係、教育・しつけの責任者としての自分)

「この子は今、社会のルールを試行錯誤しながら学ぼうとしている途中なのだから、徐々に本人の主張を確認し受け止めながら、自分で選択・判断できるようにサポートしていくのが自分の役割」と思うか
(民主的な関係、相手を自ら主体的に学ぶ存在としてリスペクトし、添え木のように成長を柔らかく支えようとする自分)(子どもの権利を学ぶことが理解を助けるでしょう)

で、対応が変わってくるのです。

より具体的な方法は、上記の本などを参考に自分にあう方法を試行錯誤してみてください。

子どもにつきあうためには、時間もかかるでしょうし、生活に余裕がないと相手につきあえないでしょう。
でも、自分自身が、よりよいコミュニケーション能力、対話の力を獲得するためには、赤ちゃんほどよい「生の教材」「先生」はありません。

不定期に訪れる「不機嫌な赤ちゃん」との対話の機会を、絶好のチャンスと考えて、無料の研修を受けるつもりで向かい合うのです。

もちろん練習の相手は、赤ちゃんでなくてもいいのですけれど、赤ちゃんはすぐに機嫌を変えてくれるので、わかりやすいです。
(そのときには、別のおもちゃや面白いことを近くに用意しておくなどして、赤ちゃんの気分転換を図る練習を先にしておくと、赤ちゃんを無駄泣きさせることがなくていいですね)

また、最初からすべての人を受け入れるというのは難しいので、少しずつ練習していくことが必要でしょう(例えば、虐待を受けてきた子どもや、考えが固定してしまっている大人を対話だけで変えることは実際には特に難しいのです)。

でも、大変だからと言って、良い方法があるのに始めないのは、残念なことですよね。自分の家庭から暴力をなくしていくこと。自分自身が力によらない社会を体験すること。
それができたときこそ「戦争をなくす」「平和な社会にする」という大きな目標を掲げることができるようになるのではないでしょうか。

みんなで日本から体罰(暴力)や暴言をなくしていくアクションを身近なところから小さく始めませんか。

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