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マルトリートメントは虐待か?はい、そうです。

はい。
国際的にWHOなどが示しているマルトリートメントの定義は、
「虐待」です。

「チャイルド・マルトリートメントとは、18 歳未満の子どもに対して行われるアビューズやネグレクトのことです。これには、あらゆる種類の身体的および/または精神的イルトリートメント、性的アビューズ、ネグレクト、過失、および商業的またはその他の搾取が含まれ、その結果、子どもの健康、生存、発達または尊厳に対して、責任関係、信頼関係、あるいは権力関係という文脈の中で、実際的または潜在的な危害が生じる可能性があります。」

”Child maltreatment is the abuse and neglect that occurs to children under 18 years of age. It includes all types of physical and/or emotional ill-treatment, sexual abuse, neglect, negligence and commercial or other exploitation, which results in actual or potential harm to the child’s health, survival, development or dignity in the context of a relationship of responsibility, trust or power.”



避けたい関わり、などとゆるく表現されることがありますし、
私も「不適切な扱い」などと書いてきましたが、

実は、「マル=Bad」で、ひどい扱い、なのです。

厚生労働省も、子ども虐待対応の手引き第一章で、
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv12/01.html

「諸外国における「マルトリートメント」とは、身体的、性的、心理的虐待及びネグレクトであり、日本の児童虐待に相当する」

と明確に記述しています。

では、なぜ、私は、不適切な扱い、というような「ごまかし」の表現を、
いつも逡巡しながら、使ってしてきたのでしょうか。

それは、
複雑性PTSDをもたらすような継続的なマルトリートメントを
「虐待」と書くと、
 「なんでも虐待と言うな」
 「それは日本における子育てで必要なことなのだ」
 「自分たちはこんなに子どものことを考えて関わってきたのに、お前こそひどい」という大きな反発を受け、
この概念が日本に定着しにくいだろう、と思ったからです。

みんな、善かれ、良かれ、と思ってやってきたことを否定されたら、
それなりに結果も出ている、と思っていることを否定されたら、

ブーイングの嵐にもなるでしょう。
それでは、この概念が広がりません。

だから、
虐待、という日本語の「殴る蹴る」のイメージが定着してしまっている用語とは違う言葉が必要だったのです。
「アビューズ」という言葉がそもそも日本語の虐待のイメージに合致しているので、それとは異なるものだということを伝える必要があったと思っています。

ただ、徐々に、マルトリートメント、という言葉が一般化してきた今、
早い段階で、ここには「わかってはいるけれどあえてそうしている」ことを書いておきたいと思います。
(ご批判もあるかもしれませんが、まだしばらくあいまいに使い続けることはあると思います。のちに、あれはよくなかったということになるかもしれませんが、その批判は甘んじて受けなければならないでしょう)

虐待には、
A)ダイレクトにダメージを与える虐待、と
B)繰り返しのジャブで、心理的に相手を参らせていくボディブローのような虐待
があり、
実は日本には、B)が少なくないけれど、気づかれていない
ので、そこに警鐘をならしていくためにどうしたらいいか、
を私は考えています。

また、
1)故意 (意図的)でなく、
2)過失 (考えてみればわかるのに…)の虐待も、
3)無知 (全く気づかずに)による虐待もある
ということです。
虐待が事件として報道されたとき、親自身は2)3)を主張することがほとんどですよね。

そして、現在、
日本では社会的マルトリートメント状態が蔓延しているので、
3)(あるいは2))の、
・子どもの発達を知らなかったり、
・子どもに共感する力が不足していたりして、
 社会的な慣習に乗っかってジャブ的に繰り出される虐待、
が少なからず存在していて、
 被虐待の症状を示している子どもたちが散見される、
ということなのです。

※ 写真は、室伏淳史氏の提供です。

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