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若きサムライのために

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中高時代の恩師に依頼されて書いたショートコラム(全7回)
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若きサムライのために (7)

(中高時代の恩師に依頼されて書いた文書をnoteでも公開しています。各話1,200字/全7回) さて、●●先生も、他の先生方も、親御さんも、そして僕自身も、自分の経験から色々なことを話します。 過去の結果としての現在を知っているからこそ、避けられたミスやエラーを皆さんに繰り返して欲しくない、あるいは、他に選択できた道にも気づいてほしい、という思いは大いにあるはずですし、アドバイスはアドバイスとして耳を傾けていただきたいと思います。 他方、経験とはあくまでも過去のものであ

若きサムライのために (6)

(中高時代の恩師に依頼されて書いた文書をnoteでも公開しています。各話1,200字/全7回) さて、ここで少し僕自身について話をさせてください。 外資に勤めているのだから英語はペラペラでしょう、と判で押したように聞かれますが、答えはノーです。 先に述べた通り、僕は●●学園という中高一貫校の出身なのですが、この学校はフランス人の宣教師がつくったので、フランス語教育が義務づけられています。 フランスには、文化で世界侵略するという明確な国家戦略があります。我々がフランス料

若きサムライのために (5)

(中高時代の恩師に依頼されて書いた文書をnoteでも公開しています。各話1,200字/全7回) 読書の続き。 「どんな本を読んだらいいですか?」 と質問をする人が時々いますが、自分のお腹が空いた時に 「何を食べたらいいですか?」 と訊く人はいないと思います。食べたいものを食べますよね。 ですから、人に訊いて正解が得られるのかという疑問もあるのですが、いくつか読みやすい本を紹介したいと思います: 『もう、きみには頼まない』 城山三郎・著 『昭和16年夏の敗戦』 猪瀬直樹・著

若きサムライのために (4)

(中高時代の恩師に依頼されて書いた文書をnoteでも公開しています。各話1,200字/全7回) 知識と教養について。 受験や就職活動に際して、新聞を読んでおいた方が良いですか、という質問はよく受けます。 確かに、時事問題に長けていることは必要条件のひとつかも知れませんが、闇雲に新聞に眼を通すだけでは、十分条件にはならないと考えます。 例えば、外国為替が変動して、1ドル100円だったものが120円になったとします。 新聞の見出しを眺めて 「ウーム、円安か」 と唸りながらコー

若きサムライのために (3)

(中高時代の恩師に依頼されて書いた文書をnoteでも公開しています。各話1,200字/全7回) 説得力について。 ちょっと脱線する話から始めますが、近年英語公用語化を進める会社が現れています。一方で、英語化は国を滅ぼすと警鐘を鳴らす人たちもいます。 一体、どちらが正しいのでしょう? 僕自身は、両方正しいと思っています。 「両方正しい」というのも立派な答えであって、一方が100%正しくてもう一方が全く正しくないというような、ハッキリ白黒がつくことは、世の中にそう多くはあり

若きサムライのために (2)

(中高時代の恩師に依頼されて書いた文書をnoteでも公開しています。各話1,200字/全7回) 僕が高校生の頃までは、「いい大学に入ればいい会社、大企業に就職できて幸せになれる」という妙な方程式(?)のような風潮が広まっていました。 しかし、大学生になる頃に我が国は不況に突入。平成9年(1997年)には、絶対に潰れないと言われていた銀行が倒産しはじめ、最も衝撃的だったのは、四大証券会社のひとつ山一證券の破綻でした。押しも押されもしないはずの大企業がまたたく間に消滅し、社員

若きサムライのために (1)

(中高時代の恩師に依頼されて書いた文書をnoteでも公開することにしました。各話1,200字/全7回) 皆さんはじめまして。 教え子たちの進路について何か書いてくれ、と●●先生に依頼されたのですが、僕が高校生の時に先生にお説教されたとしても、まともに聞く耳など持たなかったでしょう。そもそも、●●先生に何を教わったかなんて全然覚えていません(笑)。ですから、ここであまり堅苦しいことを述べても、皆さんの印象には残りにくいと思います。 とはいえ、僕の経験や考えが、少しでも皆さん