見出し画像

八墓村風蜂退治

地球上で「寝てる人」と「起きてる人」の人数の割合は常に一定である。だから、眠れないときというのは、その時間に「寝てる人」が多すぎて、自分は順番待ち、つまりウェイティングリストに載っている状態なのではなかろうか。

と、眠れない夜にバタンバタンと寝返りを打ちながら思ったりします。

ここんとこいまいち眠れません。寝ている人の数が多すぎるのか・・・

そういえば、先日、うちのバルコニーの天井(屋根のうち側)に蜂の巣を見つけたんですね。目の端をふわふわと「何か」が横切ったのでつい見上げた。長い脚をだらっと伸ばしたまま空中浮遊している「それ」は、まるでエヴァンゲリオン初号機のようで、その初号機の行方を目で追うと、げ、なにあれ!小さいミカンくらいのアシナガバチの巣が二つ、ポコンポコンと天井にくっついてる。

え、えらいこっちゃー!ネットで調べたら「二週間もしたら大きくなって手が付けられなくなります」と書いてある。

だから「活動が弱まる夜のうちに奇襲をかけて、朝に巣を取り除くべし」。

ジリジリする気持ちで日が沈むのを待って、いざ出陣。黒は攻撃されるらしいので、上下白のウィンドブレーカー。初夏のテニスコートであれば爽やかな装いである。暗闇の中、必死の形相で纏うと「丑の刻参り」である。

眼を守るサングラス、マスクは二重、軍手も二重。なんか「全学連」っぽい。

つばのある大きい帽子に赤いセロファンで覆った懐中電灯(蜂は赤色を認識しないらしい。赤信号で止まらないタイプだ)をひもで括り付ける。だんだん横溝正史の『八墓村』風になってきた。

『ハチマキにはつけっぱなしにした棒型の懐中電灯を二本、角のように結び付け、胸にはこれまたつけっぱなしにしたナショナル懐中電灯をぶらさげ・・・』

ありゃナショナル、ってのがおどろおどろしかったですね。

次の日の朝、巣を取り除いて、ほっと一息ついたら、果たして自分の取った方法は正しかったのだろうか...と急にソワソワ気になってきた。

昨日は日本のサイトを見たので、今度はオーストラリアの「蜂の巣駆除業者」をサーチ。

そしたらある業者のページには「私たちのところには時々、病院から電話がかかってくるのであります。みなさん、ご自分で蜂の巣の駆除をしようとして失敗された方たちです」という、我をして戦慄せしめる文章が。

さらには「巣を除去した後も、蜂は帰巣本能があるので、その場所に帰ってくる」んだって。そして巣がないことに気がつくと「オレの留守に何があったアァァァ!」と怒り狂うので気を付けなきゃいけないんだって。

...あ、そうか。これが最近ぐっすりと寝付けない理由か。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?