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あいうえお作文

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記事一覧

びゃ びゅ びょの詩

白狐様の背に乗って
ビュンビュンと風を切る
秒針はゆっくりと時を刻む

じゃ じゅ じょの詩

じゃあね、と制服で手を振った
十代半ばの肌寒い夜の帰り道
女子高生が最強だった旧中山道

ぎゃ ぎゅ ぎょの詩

ギャンブル好きの旧友の
牛タンの食べ方といったら
行儀がいいことこの上ない

みゃ みゅ みょの詩

脈拍がどんどん速くなった末に
ミュータント生物となる
茗荷を食べて忘れてしまおう

ひゃ ひゅ ひょの詩

百穴古墳のヒカリゴケの一群は
ヒューマンをやめてから日が浅く
飄々として見せかけるので精一杯

しゃ しゅ しょの詩

車窓の景色に目もくれず
修羅の日々を思う
衝動に駆られるばかりで

きゃ きゅ きょの詩

「キャラメリゼは素晴らしい」
旧市街の黄昏時、そこに暮らす黒いとんがり帽子が言った。
今日という日を砂糖の内側に閉じ込めたいのであった。

ぱぴぷぺぽの詩

パラレルワールドの隙間は
ピンク色に光っているそうだ
プーケットの市場で見つけた
ペーパーナイフでこじ開けたら
ポアソンダブリル真っ只中

ばびぶべぼの詩

バニラアイスを食べながら
ビー玉を見つめていた
ぶら下がる東京タワー
ベランダで君が笑った
僕の夏は終わらない

だぢづでど

ダ行はダメだ
ヂは痔しかないし
ヅもあまり文頭に来ないし
デはまぁ沢山あるが
どうしたって不自然になる

ざじずぜぞの詩

雑穀米に自然薯とろろ
滋養に富んだ夕食を
頭巾を被った蝉丸と
絶壁より絶景を眺めながら
存分に噛みしめる八月十日