第八夜 星の島

星の島という島があり、そこには大きなお屋敷があり、

お姫様が住んでいた。

星の島にはお屋敷と自然の他には何もなく、

お姫様は学校を作りたがっていた。

お姫様は人魚に姿を変えることができたので、

しばしば海の中を泳いで大陸へ渡り、

学校を作るための準備をした。

お姫様は、学校ができたら生徒と一緒に修学旅行に行きたいと思ったので、

まず40人分の旅行枠を探すことにした。


一方で、大陸には詐欺師がいた。

詐欺師は旅行会社にお金を支払うことなく

40人分の旅行枠を得ることに成功していた。

そこへお姫様の忠実な下僕がやってきて、

「旅行会社にお金を支払うから、40人分の旅行枠を譲ってくれ」

と詐欺師を脅した。

詐欺師はしぶしぶ40人の旅行枠を譲ったが、

結果的に詐欺師は詐欺を働かずに済んだのだった。


忠実な下僕はお姫様に、40人分の旅行枠を確保したことを電話で伝えた。

するとお姫様は「私の貯金1,200万円を足しにしてちょうだい」と言った。

その一部始終を見ていた私に、お姫様の忠実な下僕は、

「隣町まで旅行会社にお金を支払いに行かなければならないから」と言って

私にお姫様への届け物を頼んだ。

私はお姫様の忠実な下僕と一緒に駅へ向かった。


駅は人でいっぱいで、私はその下僕を見送ろうと、ホームに行った。

ホームは薄暗くてじめじめとしていた。

人波に押されながら、下僕はなんとか電車に乗り込んだ。

別れ際に下僕は、「星の島の駅は、あちらの右を降りたところだ」と教えてくれた。


私は路線図を見た。

太い本線が東西に走っていて、

星の島はその本線に対して垂直に通っている細い路線の南側の一駅先にあった。

(ちなみに下僕は東西に走る本線の東側にある隣町の駅へ向かっている)

私はホームの端にある狭くて急な階段を人波をかき分けてなんとか登り、コンコースへ出た。

コンコースはホームと違って明るく、からっとしていた。

なるほど、下僕の言った通り、星の島へ行く電車のホームは右側の階段を降りた先にあるらしい。

右側の階段からコンコースへは光が入り込んでいた。

私はその光の差す星の島へのホームへと降りていった。

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