中学校、あのころ

仕事終わり、日高屋に飲みに行く。
ふらっと一人で飲みたいけれど、個人店の威勢の良い接客を受ける元気がないとき、私は日高屋に行く。

最初に頼むメニューは決まって生ビールと3品盛り合わせだ。ビールをぐいっと飲み、メンマやキムチ、ねぎと和えた焼き鳥をつまむ。メニューを眺めながら追加でハイボールを頼み、餃子や半ラーメンなどを注文することが多い。

日高屋のメニューは、特別美味しいわけではないし、接客は雑だ。飲み物や食べ物をドンッと音を鳴らしてテーブルに置かれる。でも、他人を気にせず飲みたい時にはちょうどいい。


今朝は職場の人の車で出勤した。
雨のせいか全然来ないバスを待っていると、近くに住んでいる職場の男性がバス停に来た。
彼はいつもバスで通勤している。私は雨が降っていたため、今日はバスで出勤することにしたのだった。いつもは自転車での通勤だ。

2人で10分以上待ってもバスが来なかった。
だから、これまた近所に住んでいる職場の車通勤の男性に連絡して、バスに乗るのを諦めて3人で車に乗って出勤することになった。

3人で車に乗り、車内で流れているラビットを横目に職場へと向かう。
他愛のない会話をしていたら、男性のうちの一人が唐突に言った。
「お前はさ、今の学校の3年生でいうとどの立ち位置なの?」

私の職場は中学校だ。中学校で、養護教諭(いわゆる保健室の先生)をしている。

彼らは中学3年生の担当だ。中学生の頃、どの立ち位置だったのかを現在の学校の、自分の学年の生徒に例えて言ってみろと彼は言っているのだった。

私は彼の質問の意味を、瞬時に理解することはできなかった。
「え?どういう意味ですか」と聞くと、
「だからァ〜〇〇とか〇〇とか?この辺の立ち位置?でも〇〇だったらちょっと引くわ、イメージダウンだわ」と笑いながら言っていた。

私は、「学年外だし、今のあの子たちの立ち位置が分かんないなぁ〜えへへ〜」とへらへら笑いながら答えたのだった。

立ち位置とはつまり、スクールカーストでどの位置なのかを尋ねているのだろう。
こんな言い方をしたくはないが、上なのか下なのか。はたまた微妙な位置の真ん中なのか。

続いて彼らは、私と容姿の似ている子を例に挙げて〇〇とか?〇〇とか?と楽しそうに笑っていた。

何も言い返せなかった。
もうやめてくれと思った。

心がぐらぐらと揺れ動き、自分の立ち位置なんてものはまったく分からずにもがき続けたあのころ。もう二度と戻りたくない、あのころ。でも、自分の中のかすかなきらめきを信じ続けたあのころ。
彼らは私が、どの立ち位置だと言えば納得したのだろう。

彼らが例にあげていた子たちは皆控えめで、教員の話にも合わせて笑ってあげるような子たちだった。
彼女たちが胸に抱える苦しさと、聡明さを馬鹿にするなと思った。

やっぱり中学校は、地獄だ。

こんなところを抜け出して、強く愉しく生き抜こうね、生き抜いていってね、女の子たちよ。

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