それ

改めて言いたいことなんてきっとなくて。
それでも何かを言わなきゃならない気もしてて。
 
 
歩いていればいろんなものが目に入る。
ときどき何かを感じて、ときどき何も感じなくて。
 
感じた何かを掘り下げて。
ちょっと誇張して書いてみて。

何かを言いたげな文になって。
そうなのかなって頷きながら首振って。
 
言っても無駄だって知ってて。
それでも何かを言うことで自分を納得させて。
 
だけどそんなのは取って付けたような感情で。
何日も何日も心に留めておくこともできなくて。
 
 
目まぐるしく動く毎日の中で
自分もそれに取り込まれてしまってて。
ゆっくりと自分を振り返ることができなくて。
 
これが大人になるってことで。
それなら大人になんかなるべきじゃなくて。
それでも大人にならなくちゃならなくて。
 
退屈と窮屈と苛立ちが代わる代わるやってきて。
僕の気持ちを覆って覆って取り込んで。
 
今日も昨日と同じように眠たくなって。
明日も今日と同じように起きたくなくて。
 
それでも起きないなんて主張は粉砕され。
居心地なんてない日々が続いていって。
 
 
決して極度に病んでいるわけでもなくて。
誰しもきっとそんな感じで。
 
自分を妥協して現状を許容できるか、
自分を認める自分になりたくて拒絶するか。
 
それでしかなくて。
それでしかなくて。
 
ただそれだけのことなのも知ってて。
やっぱり今を拒絶しきれなくて駄々をこねて。
 
蟻地獄でもがく蟻ってわけでもなくて。
自らの意思で過ごせる野良猫でもなくて。
 
 
せかせかせかと。
 
ぎゅうぎゅうぎゅうと。
 
ばたばたばたと。
 
かたかたかたと。
 
 
改めて言いたいことなんてきっとなくて。
それでも何かを言わなきゃならない気もしてて。
 
自分が自分でありたくて。
でも自分が何かも知らなくて。
 
何も何も何もなくて。
何か何か何かが欲しくて。