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お新香のちから。

飛沫(しぶき)が飛ぼうが
熱さで咽(むせ)ようが
一向に御構い無しで
ひたむきに本能を埋めてゆく。

白ご飯をお供にガッツリと!
空腹時には誰にも止められぬ欲望に
衝き動かされて、今日もまた勧進橋
「ラーメン藤 本店」さんへ。

少しだけ味を薄い目に、そして麺も
少々硬い目が昔からの自分好み。
それ以上濃くても薄くても、
硬くても柔らかくてもダメで、
細かにオーダーできるのがありがたい。

うずたかく盛られた野菜の下には
鉛筆削りのように薄くスライスした
たっぷりのチャーシューが潜んでおり、
繊維にスープが沁みると肉は反応し、
お返しに脂と旨味を放出する。

具材の空いたスペースにレンゲを沈め、
滾るようなさ熱々スープの洗礼を
受けると、唇全体に薄っすらと油膜が覆う。
それをペロリと舐め回したら、
戦いのゴングがけたたましく鳴り響く。

肉と野菜で麺を包み、目一杯持ち上げ、
許容量ギリギリを口全体で頬張ると
脂と醤油のシズル感に溢れかえり、
すぐさま白ご飯にレスキュー要請!

左手にご飯、右手には箸とレンゲを
器用に操り、クライマックスまで
一気に駆け上ってゆく。

いつだってハッと我に返るのは、
これまたお供のお新香の甘さを感じた時。
カリッと噛むと鎮静し、
飢えた獣から人間へとやっと戻れる。

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