雑感ラーメンKyoto

京都でハウススタジオを運営しているラーメンバカです。 インスタ→https://www…

雑感ラーメンKyoto

京都でハウススタジオを運営しているラーメンバカです。 インスタ→https://www.instagram.com/onikino/?hl=ja スタジオ→http://www.kinostudio.jp/ ラーメン店はネタの宝庫、そのあたりを自由奔放に..

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最近の記事

最後のあがき

死に体の蝉がベランダでバタバタしているから なんとかしろっ!!と嫁から厳命が下った。 ここはマンションの6F、”自然”とはかけ離れている。 きっと最後の力を振り絞って、ここへ軟着陸してきたのだろう。 仰向けにひっくり返ったアブラゼミにティッシュを当てがうと、 捕まりたくなかったのかブルブルと最後の足掻きを見せ、 そのままもう2度と動かなくなった。 私は、アブラゼミの一生を想った。 人生の大半を地中で暮らし、最後の1ヶ月だけ生まれ変わって、 文字通り命を燃やし

    • 転がる石

      酔っ払ったミックは よせばいいのに チャーリーへと電話した。 ミック「”俺のドラマー”はどこだ?」 チャーリー「・・・・・」 20分後、ドアにノックの音。 開けると正装したチャーリーが 一目散にミックの元へ駆け寄り、 胸ぐらを掴んでこう言った。 「二度と俺のことを お前のドラマーだと呼ぶな! ”俺の唄歌い”がっ!!」 先日鬼籍に入られたストーンズの ドラマー、チャーリー・ワッツと ボーカル、ミック・ジャガーとの 有名なエピソード。 ここ「ラーメン藤本店」さんでも そ

      • これでいいのだ。

        ええ、先に注文を済ませましょう。 セルフの水は私が汲んでおきます。 麺は柔らかめがお好みでしたか。 私はなんとなくクセですね、 いつだって硬めでお願いしてます。 餃子も頼んでおきました。 小ぶりですが、とてもおいしいですよ。 お口に合うかどうか分かりませんが むかしから馴染んできた味なんです。 きょうはとてもいい機会だと思います。 来ましたね。 お好みで胡椒と一味を振ってください。 熱いですよ、火傷しないで。 飲み干したいぐらいうまいです!って このスープがですか? それはよ

        • 昭和狂想曲

          ミーが朝起きて思うことは3つ。 その1、今日が金曜日ならいいにょ〜。 その2、今日はどこのラーメン屋さんに行くかにょ〜。 その3、隙があったらたかばしに行くんだにょ〜。 うん、ミーは今日も冴えてる!! よっしゃ、たかばしへ行こう!!(^∇^) っていきなりかよ!!車のフロントガラスが分厚く凍ってる! 約10分間の黒沢明とロス・プリモス、 急げ、ぼやぼやしていると後塵を拝することになる! 霜に泣き濡れた車は九条通りをひたすら高知東急、 点々と続く街灯の先っぽが 五重塔を

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        • 雑感ラーメンKyoto
          66本

        記事

          完全栄養食

          五目そばって、 たくさんの野菜が入ってますわな。 お肉も入ってますわな。 もうどう見てもお鍋ですわな。 おじや風に玉子とじも 〆のラーメンも入ってますわな。 完全栄養食すぎて 宇宙食向きですわな。

          夫婦の賞味期限

          先日の夜、近鉄向島駅近くの線路脇の道を 車で走っていたら、左前方に買い物帰りの 若いカップルが談笑しながら歩いていた。 右側の男性は肩に、左側の女性は腰に手を廻し、 ゆっくりゆっくりと歩いている。 何かの映画のシーンのデ・ジャブなのだろうか 若しくは遠い過去に経験した蜜蜂の様な 甘い記憶なのだろうか、とにかく五十路の おっさんの胸は確かにキュンと縮こまったんだな。 ところが憧れるのは自由だけど、それを現役の 嫁殿に求めるには少々どころかかなり無理があった。 後日買い物途中に

          夫婦の賞味期限

          コギトエルゴスム

          この世にまずいラーメンなどない。 あるとすれば、それは好みの問題。 そのように考えれば、冒険できる。 冒険には覚悟が要る。 リスクを冒し、不安が的中しても さらにリスクを冒していく。 そのさきに、感動がある。 我思う、故に我あり。 目の前の美しい一杯が たとえ幻であっても それを意識する自分の存在は 疑いようもない。 【感動!頑固麺 鶏中華そば】

          コギトエルゴスム

          原風景

          東山二条を少し西に入ったジャスコの横に 「華芳」さんというラーメン屋さんが ありましてねえ、6年ほど前ですけど。 年配のご夫婦が切り盛りされている 昔ながらの小さなお店でしたから、 見た目はこれといって特徴のない、 ごく普通の中華そばでした。 ただ、安かった。そして、 不思議とまた食べたくなる味でした。 なんともいえない懐かしさと優しさを こちら「繁ちゃん」さんに感じたのは、 実は「華芳」さんの一杯にとても 近い感じがしたからなんですね。 それが2回目にお邪魔した今回

          朝旭009(ダブルオーナイン)

          「ラーメン同好会の皆さんは お元気ですか?」 ん?なんのことだったっけ? 早朝のたかばし第一旭本店で 楊枝をシーシーしながら代金を支払う オレに、フロアのたくちゃんが 唐突にそんなことを言い出した。 あっ!! もしや【朝旭009】を 覚えていてくれたのかっ! 実は2年ほど前の冬、 友人の快気のお祝いに ここたかばし第一旭さんで 朝旭をしようよ、と冗談みたいな 話が持ち上がったところ、 やろうやろうと野郎が9人も 早朝のお店に駆けつけた。 それをフロアのたくちゃんが 覚

          朝旭009(ダブルオーナイン)

          お新香のちから。

          飛沫(しぶき)が飛ぼうが 熱さで咽(むせ)ようが 一向に御構い無しで ひたむきに本能を埋めてゆく。  白ご飯をお供にガッツリと! 空腹時には誰にも止められぬ欲望に 衝き動かされて、今日もまた勧進橋 「ラーメン藤 本店」さんへ。  少しだけ味を薄い目に、そして麺も 少々硬い目が昔からの自分好み。 それ以上濃くても薄くても、 硬くても柔らかくてもダメで、 細かにオーダーできるのがありがたい。  うずたかく盛られた野菜の下には 鉛筆削りのように薄くスラ

          お新香のちから。

          神降臨〜天地創造

          第一印象は古代ギリシャの世界地図に 見えなくもない「セアブラノ神」さんの2月限定、 【熟成但馬牛台湾まぜそば】。 北西には背脂大地とスイートチリソースの 紅海が広がり、北東にはニラの森、 南西には九条ネギの密林が蒼く繁っている。 南東には海苔の岩場とゴマの砂丘、 中央にそびえる但馬牛ミンチの山稜に、 この世界の核である赤玉蘭王が鎮座する。 地中より地殻変動の兆しが見え始め、 中太麺の無数の龍が暴れ出すと 混沌としたこの世界は一旦混ざり合い、 原型を留め

          神降臨〜天地創造

          BAR海人

          老齢のチーフが切り盛りする いぶし銀のようなBARを 街の先輩に教えてもらい、 若い頃よく通っていた。 地下へと続く階段、 カウンターの真鍮の手すり、 年代物のスコッチなど、 自分には相応しくない 大人の雰囲気に惹かれ、 訪れる度に背伸びをしていた。 中でもおつまみの 「オイルサーディン」が 死ぬほどおいしくて、 毎回舌鼓を打っていたのを 鮮明に記憶している。 チーフ曰く、 プロの料理人さんに失礼だから 料理なんて呼べる代物じゃあないと 謙遜されてたが、 「おいし

          春菜、たったひとりの闘い

          ラーメン屋さんなどの飲食店もそうだけど、客が訪れるコンビニなど、働いている方は全く意識していないだろうが、客はそのお店の方の顔をしっかり覚えているもんだ。たまに別の場所で偶然遭遇したりすると、声には出さないがすぐにわかる。 きのう、大好きな鶴武者さんで和風らーめんの窯出しチャーシュー愉しんでいると、家の近所のよく行くとあるお店の女の子らしき子が彼氏なんだろうか、仲良く連れ立って奥のカウンターへと腰をかけた。あれはもしかして、春菜じゃないのか。おお、春菜で間違いない。その瞬間

          春菜、たったひとりの闘い

          おりょうさん

          かなり酔っていたが千鳥足ではない。 スタジオ近くの三条商店街の居酒屋を出て、 〆のラーメンは千本丸太町まで歩き、 「祇園泉」さんで濃厚さで定評のある 【鶏白湯ラーメン】を戴いた。 とろりとしたスープに フライドオニオンの香ばしさが加わり、 飲み明けの一杯としては中々のパンチ力で 空腹を満たしてくれる。   一旦スタジオに戻り、 タクシーをつかまえるべく普通なら 堀川通りに出るのだが、 四条大宮の喧噪が懐かしくなり、 今度は南へ向けて細い路地を歩き始

          絹糸の束

          7、8台ある駐車スペースの最後の一角に 何とか滑り込むと、先に到着していた 友人が降車して来た。  開店まであと三十分。店の前の小さな 人だかりに身を置くと、その後ろに何処から ともなくぞろりと人が列を成し始める。   15食のみの限定メニュー、 【京小麦二層麺の濃厚鶏白湯つけそば】に ありつけるかどうかはもはや運、 そういう間(はざま)で一喜一憂して来た 猛者たちが指折り自分の順番を数えている。   一巡目で満席になった店内には業界の方や

          杉千代今昔物語

          20代の頃、右京区梅ヶ畑なる僻地に住んでいた。 新丸太町通から山越通を上がり、高雄へ抜ける 小さな山頂にポツリとマンションが建っている。 ベランダから望む山間には市内の夜景が映り、 裏の山裾には猿(ましら)が下りてきたりする、 とにかくそんな孤立して不便なところだった。 麓の生活基幹道路となる新丸太町通り、特に花園橋や 常盤周辺の飲食店には本当によくお世話になった。 花園橋では、生前母が「パル」という名の小さな 喫茶店を営んでいたこともあり、 周辺を通過したりするといまだに

          杉千代今昔物語