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夫婦の賞味期限


先日の夜、近鉄向島駅近くの線路脇の道を
車で走っていたら、左前方に買い物帰りの
若いカップルが談笑しながら歩いていた。
右側の男性は肩に、左側の女性は腰に手を廻し、
ゆっくりゆっくりと歩いている。
何かの映画のシーンのデ・ジャブなのだろうか
若しくは遠い過去に経験した蜜蜂の様な
甘い記憶なのだろうか、とにかく五十路の
おっさんの胸は確かにキュンと縮こまったんだな。

ところが憧れるのは自由だけど、それを現役の
嫁殿に求めるには少々どころかかなり無理があった。
後日買い物途中に恐る恐る肩に手を回してみると
ものすごい形相でこちらを睨みつけ、
「密接なんじゃ、ボケッ!」と一喝!
うなぎのようにスルリと、いやハリセンボンの
ようにチクリと身をかわし、
スタスタと早足にその場から逃げ出した。

「いや、そうじゃないんだ、そうじゃないんだよ..」
心の叫びが、虚しく空回りするのだった。

山科に仕事が終われば手を繋いで帰路につきそうな
仲良さげな夫婦が営むラーメン店がある。
ピブグルマン「麵屋 裕」さん。
無料になった稲荷山トンネルを抜けると、
名物「蟹塩そば」とともに仲睦まじいお二人の
息の合った仕事ぶりなどが伺える。

唯一無二の黄色いスープには、ラーメンが
好きで好きで日々研鑽を怠らないご主人の情熱と
それを献身的に支え続けられる奥様の愛情が
たっぷりと効いており、塩っぱさのあとに
必ずやってくる蟹身の甘〜い後味がたまらない。
これだけで十分にロマンティック!!
久しぶりにいろんな意味でごちそうさまでした♪( ´▽`)

別にウチの仲が悪いというわけじゃあない。
単純に子供じみた妄想癖に浸りたいだけで、
全てが思いつきで動くもんだから
嫁殿にとってもたまったもんじゃないんだろう。
むしろ生活の中に根ざした彼女の発信する
現実的なロマンティシズムを、盲目的に
見逃しているのは自分の方なのかも知れない。

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