乃木坂しん|ミシュラン一つ星の日本料理店

東京・乃木坂にある日本料理店「乃木坂しん」です。日本料理店は、ハードルが高いと思われが…

乃木坂しん|ミシュラン一つ星の日本料理店

東京・乃木坂にある日本料理店「乃木坂しん」です。日本料理店は、ハードルが高いと思われがちなのですが「そんなことまったくありませんよ」ってことをnoteを通じてお伝えしていきたいと思います。サイトはこちら(https://www.nogi-s.com/

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プロローグ|「日本料理の入門編」でありたい

あけましておめでとうございます。東京・乃木坂にある日本料理店「乃木坂しん」の店主・石田伸二です。新年を機に、noteを始めることにいたしました。 2016年にオープンした「乃木坂しん」は、今年の6月で5年目を迎えることになります。出身地である徳島県の食材はもちろんのこと、日本各地の旬の上質な食材に向き合いながら丁寧に調理して、素材の魅力をお客様にお伝えする。このことを日々繰り返してきました。ありがたいことにオープンした年から4年続けて「ミシュランガイド東京」の1つ星の評価を

    • 貝に山菜、稚鮎、じつは豊富にある5月の食材|皐月の献立

      5月にも関わらず、半袖でも暑いくらいの真夏日が続いたかと思えば、雨で気温が下がったりと、気候の変動が激しく体調を崩しやすい日々が続いております。ご自愛いただき、健やかにお過ごしいただけることをお祈りしております。 こんにちは、乃木坂しんの店主、石田伸二です。 飲食店では、「5月は端境期で食材がなくて大変」ということをよくいいます。かくいう自分も、修業時代から長らくそう思っていましたが、ここ1、2年、産地をまわって生産者さんと交流が強くなったこともあって、愛知県日間賀島の平

      • 芽吹いた新芽の苦味やエグみも、春のおいしさとして丁寧に盛り込んでいく

        満開の桜が散ったあとに、新芽が勢いよく芽吹いています。春、真っ盛りといった季節に日々元気をもらっています。新年度もはじまり、新しい生活がスタートしたという方も多いと思います。ゴールデンウィークまでもう少し、お身体ご自愛くださいませ。 こんにちは、乃木坂しんの店主、石田伸二です。 山の方も春になってきて、春らしい山菜も出てきました。冬の間の根菜類は、土の中で育った根を食するので、きちんとした処理をしてから炊くなどして、手をかけて食べるおいしさがあります。 一方春は、新芽が

        • 食べてほっとする地元に帰ったような料理を出し続けられる料理屋でありたい

          3月14日に東京の桜(ソメイヨシノ)の開花宣言がありました。例年より10日も早いということで、今年は春の訪れが早まりそうです。とはいえ、急に冷え込む、いわゆる「花冷え」の日もあると思いますので、季節の変わり目、お身体ご自愛くださいませ。 こんにちは、乃木坂しんの店主、石田伸二です。 3月は、春の食材の端境期ともいわれて、冬から春へと食材がガラリとかわっていきます。それにあわせて、お皿やお店の設えなども春に向けて変えていく時期でもあります。 弥生(3月)の献立では、毎年使

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        • 毎月の献立
          26本
        • 器の会
          3本

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          赤貝に山菜、新玉ねぎ、献立には春の訪れを感じさせる食材があふれています

          2023年がはじまって1カ月が過ぎました。まだまだ寒い日々が続いていますが、立春も過ぎ少しずつ春の訪れを感じられるようになっています。春はもうすぐそこまでやってきていますね。 こんにちは、乃木坂しんの店主、石田伸二です。 如月(2月)の献立がスタートしております。蟹や河豚といった冬の食材とともに、赤貝などの貝類や山菜、新玉ねぎなど、春を感じさせる食材も少しずつお皿の上に現れてきています。春の訪れをお料理のなかから見つけてみてください。 如月の献立ーーーーーー 先附カリ

          赤貝に山菜、新玉ねぎ、献立には春の訪れを感じさせる食材があふれています

          蟹に河豚、鰤、鰆、青首鴨など、力強い食材が揃った師走の献立

          いつも冷静沈着で落ち着いた師(僧侶)ですら忙しく走り回る。「師走」は文字通り、年末のあわただしさを感じるひと月です。今年は、行動制限のない年末を迎えて、乃木坂しんもありがたいことに忙しく日々を過ごさせていただいております。 日に日に寒さも厳しくなってきております。みなさまどうぞご自愛いただき、良い年末年始をお過ごしください。 こんにちは、乃木坂しんの店主、石田伸二です。 観察することで深まっていった食材への理解今年もあとわずかになってまいりました。12月は、1年の最後の

          蟹に河豚、鰤、鰆、青首鴨など、力強い食材が揃った師走の献立

          日本海の京都、京丹後市で出会った生産者さんたち

          京丹後市は、西は兵庫県豊岡市、北は日本海、東は若狭湾に面する伊根町や天橋立がある宮津市などに接する京都府の北端の市です。 10月中旬、昨年(2021年)に引き続き京丹後市のふるさと納税返礼品のコース料理の開発のため、乃木坂しんの店主・石田伸二とソムリエ・飛田泰秀が京丹後市を訪ね、生産者の方々にお会いしてきました。 食通の方には「幻の蟹・間人ガニ」で知られていたり、野球ファンの方には野村克也さんの生誕地としても知られる京丹後市。今回の旅でたくさんの素晴らしい食材と生産者さん

          日本海の京都、京丹後市で出会った生産者さんたち

          冬にむけて、食材が力強くなっていく

          11月は、霜月や雪待月などと呼ばれる秋から冬への変わり目になる月です。これから日に日に寒さが増していく時期でもあります。年末に向けて忙しい日々も続くと思いますので、どうぞみなさまご自愛ください。 こんにちは、乃木坂しんの店主、石田伸二です。 食材が力強くなってきたからこそバランスを大事に11月6日に、北陸・山陰地方でズワイガニ漁が解禁になりました。メスのセコガニ(香箱ガニ)は12月末まで、オスの松葉ガニは3月20日まで漁が続きます。 ズワイガニ漁がはじまると、冬が来たと

          冬にむけて、食材が力強くなっていく

          食材の大きさや切り方、塩の当てるタイミングでもかわる料理のバランス

          10月に入って、一気に気温が下がり、秋が深まってまいりました。毎日の寒暖差が大きいので体調管理も難しい時期でもあります。どうぞみなさまご自愛くださいませ。 こんにちは、乃木坂しんの店主、石田伸二です。 切り方ひとつで表情がかわるのが料理10月に入って食材もすっかり秋めいてきました。秋の食材の王様・松茸が献立に入ってきましたし、先月からお出ししている長野県・妙高の奈潟轍さんの天然きのこなども本格的にはじまっています。 今月も献立の試食会を支配人の飛田と繰り返してきました。

          食材の大きさや切り方、塩の当てるタイミングでもかわる料理のバランス

          松茸や天然キノコに鯛、秋の食材とともに器も秋の色合いに変ってきました

          ここ数日、朝夕が本当に涼しくなってきました。秋の訪れを感じながらも、沖縄や九州では大型の台風が発生し、日本に近づくことも多くなる時期でもあります。すでに台風の影響を受けている地域の方々もいらっしゃるのではないでしょうか。どうか、今後大きな災害にならないことを願わずにはいられません。 こんにちは、乃木坂しんの店主、石田伸二です。 長月(9月)になり新しい献立では、食材や器がガラッと変わり、赤っぽい秋の色合いになってきてました。食材の切り替え時期、端境期ともいわれますが、天然

          松茸や天然キノコに鯛、秋の食材とともに器も秋の色合いに変ってきました

          鮑素麺に水貝、あなざく、夏の定番料理も年々少しずつの進化を

          お盆休みが過ぎて、少しずつ昼夜の気温が下がってきました。東京は、夜もだいぶ涼しくなってきて、秋の気配を少しずつ感じている今日この頃です。 こんにちは、乃木坂しんの料理長、石田伸二です。 8月は、5日(金)から8日(月)の4日間、今回で11回目になる器の会を、京都のガラス作家、杉江智さんをお迎えして開催いたしました。普段の献立では、さまざまな作家さんの器を使って盛り付けていますが、器の会では、お招きした作家さんの器だけですべてのお料理を盛りつけています。 これまで、漆器だ

          鮑素麺に水貝、あなざく、夏の定番料理も年々少しずつの進化を

          乃木坂しんの料理は、一人で作っているわけではないんです

          いよいよ本格的な夏がやってきました。2022年夏の長期予想によると、今年は(も?)全国的に厳しい暑さになるそうですので、皆さま熱中症などには十分にお気をつけのうえ、無理せず夏を楽しみながら過ごしていただけたらと思います。こんにちは、乃木坂しんの店主・石田伸二です。 今年の関東地方の梅雨は、 記録が残る1951年以来もっとも早い梅雨明け(6/27頃)でした。期間も21日間と短くて、こちらも最短記録を更新したそうです。春が短くなって、すぐに夏がくるようになった、そんなことを感じ

          乃木坂しんの料理は、一人で作っているわけではないんです

          スタッフと一緒に茨城県の産地を巡った「大人の遠足」

          店主の石田伸二は、毎週日曜の定休日を利用して産地を訪れて一次産業を学び、生産者さんと交流を深めています。石田が「大人の遠足」と呼ぶこの産地訪問、6月上旬には、2月に続いて2度目になる茨城県の産地巡りをしてきました。 普段は、石田一人でまわったり、支配人の飛田泰秀とまわったりすることが多いですが、東京から近い茨城県は、車で2時間も移動すればたいていの産地に行けることもあり、普段産地に行けない厨房やサービススタッフと一緒にまわるようにしています。 今回は、サービススタッフの小

          スタッフと一緒に茨城県の産地を巡った「大人の遠足」

          一生勉強し続ける食材の鮎や鱧に、今年も向き合いはじめる

          関東地方は梅雨入りし、ジメジメとした日々が続いています。湿度が高くなったと思ったら、急に冷え込んだりと体調管理が難しい時期です。スッキリしない毎日で気分もすぐれない日もあるかもしれませんが、あまり無理をしないように、体調に気を付けてお過ごしくださいませ。 こんにちは、東京・乃木坂にある日本料理店「乃木坂しん」の店主・石田伸二です。 料理人としての心構えを正してもらえる食材僕自身も梅雨は嫌だなと思いますが、食材を見ると夏を迎える準備が始まったように感じます。食材も鱧や鮎が6

          一生勉強し続ける食材の鮎や鱧に、今年も向き合いはじめる

          かわらぬ料理だからこそ、塩ひとつ、煮詰め方ひとつを丁寧にしていく|皐月の献立

          自宅から自転車で乃木坂に通勤していると、気候の変化や道端の草花の移り変わりに心がとまることがあります。 少し前になりますが4月の終わり、いつも通り豊洲市場から店に向かう道で一斉に咲いたツツジのきれいさにはっとさせられ、思わず自転車を止めて写真を撮ってしまいました。 それからあっという間に、ゴールデンウィークが過ぎ、あっという間に夏の気配を感じる立夏になりました。 noteを読んでくださっている皆様のなかには、新年度も1カ月が過ぎて少しお疲れが出ている方もいらっしゃるかも

          かわらぬ料理だからこそ、塩ひとつ、煮詰め方ひとつを丁寧にしていく|皐月の献立

          道理にあった戯れ、「見立て」で思いきり遊んだ器の会

          見立て。辞書には以下のように説明されています。 雪を梅の花、滝を龍などのように自然の風景を別のもののように見たり、枯山水庭園のように水を使わずに山水の趣を表したりするように、(5)に説明されているような「見立て」は、日本の文化に広く深く根差しているものです。 見立ては、もともと漢詩や和歌といった文芸から生まれた精神でしたが、茶の湯を大成した千利休が日常の生活用品を茶道具に見立てて扱うようになり(瓢箪の水筒を花入として用いたり)、茶の世界でも大切にされてきました。 もちろ

          道理にあった戯れ、「見立て」で思いきり遊んだ器の会