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おとおとの 駄菓子屋の話

こんにちは。おとおと(減量中)です。

我々兄弟が小さい頃、
まだおそらくおとおとが小学生にもギリギリなっていないくらいの時から夏のルーティンのひとつとして市営プール遊びがあった。

6歳くらいのボクは母親から50円玉を貰い
ひとりエッチラオッチラ20分歩いて近所の市民体育館の隣にある幼児用プールと25メートルプールがあるだけの街の小さな市民プールへ。

小学校入学前のチビが1人でプールなんて今じゃ考えられないけどこれも30年以上前だったら許されてたんだよね。
現に僕以外にもプールサイドはそんなソロプールを楽しむ子供で溢れかえってた。

そして本当の楽しみは帰りである。
母はプールに行く僕に必ず50円玉をくれた。
プールの入場料が30円なので20円があまる。
その20円はなんと好きに使っていいと言うのだ。

当時から貰ったお金を大切にとっとく兄とは違い、僕は貰ったお金をすーぐ使ってしまうので、大抵その日の帰りには帰宅の道中にあった駄菓子屋「いせ屋」で何かしらのお菓子に変わり、胃袋へと消えていくのである。

しかしこの20円という金額は
駄菓子屋でお菓子を買うには絶妙に悩ましい金額である。
まずプールサイドに降り注ぐ焼き付くような日差しの中休憩という概念がない僕がノンストップで数時間遊び続けたので当然の如く喉はからっからである。

甘味のある液体で喉を潤したい。

しかし無情にも
ビニールの容器に入った通称「30円ジュース」はその名の通り30円なので買えない。
買えるものといったら

うまい棒(10円)
どんどん焼き(10円)
蒲焼さん太郎(10円)

あーーーー殺す気か!!!
喉カラッカラなのにそんなモソモソしたしょっぱいもんが口に入ったらいよいよ死ぬぞ!!
店内を探し回ると5円チョコやふ菓子、モロッコヨーグルなどのスイーツもあるのだが、でも結局僕が選ぶのが

ラーメンばばあ
訂正:ヤッターメン(10円)

なのである。
ラーメンばばあヤッターメンとはちっちゃなカップに粉々のベビースターラーメンみたいな麺が入っているのだがこれがめちゃくちゃしょっぱい。
上品な味のベビースターラーメンと違い喉が焦げるようにただしょっぱいだけなのである。
だがこの爆竹のように喉が焼き付くほどしょっぱいラーメンばばあヤッターメンをなけなしの20円で買うのか疑問に思うだろうが、実はこのラーメンばばあには他のお菓子にはないロマンがあるのだ。
それが「当たり付き」である。

駄菓子なんてだいたい当たり付きだろう
と思ったそこの諸君。
ちっちっち。
それはちっちっちなのだよ。

なんとラーメンばばあヤッターメンの当たりは金額が書かれているのだ。
これ凄くない?
子供の記憶なので真偽の責任は取れないが10円のラーメンばばあヤッターメンで最大500円の当たりが出るというのだ。
そら甘味を諦め喉が焼き付き長渕よろしくな声の子供になろうともチャレンジするのがオトコってもんでしょうよ!

そんなロマンを追いかけるトレジャーハンターについにこの日が訪れる。
その日も持ち金20円をすべてラーメンばばあヤッターメンに全BETしババアの蓋をペリンと開けたそこには

「50円」

と書かれていました。(はい。脳内でロッキーが勝った時の音楽流して!)

ついに。
ついにこの日が。

僕は一目散に長年恋焦がれた30円ジュースを手に持ち突き刺す塩分でやられた喉から振り絞るように

「これ.....当たったんで.....ください」

するとラーメンばばあならぬ駄菓子屋ばばあが
僕より遥かに塩分でやられたようなダミ声で

「当たりでジュースはダメだよ。」

......。

以上。
おとおとの駄菓子屋の話でした。

ちなみに僕はいせ屋のばばあはいけずで嫌いでしたので近所の別の駄菓子屋「もがみ屋」派でした。
また来週。


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