見出し画像

はじめての「はじめてのトランスジェンダー」その22 SNSの情報をファクトチェックしてみた結果 性犯罪をしても「自分は女」と自称すれば逮捕できないのか その1

こんにちは。
はじめての「はじめてのトランスジェンダー」その21です。

はじめてのトランスジェンダーというサイトがありますね。

こちらのサイトはトランスジェンダーについて知りたいという人に紹介されることが多いサイトです。
しかし、このサイトには非常に多くの問題点が指摘されていて、トランスジェンダーについてはじめて学ぶ人に対して非常に不誠実な内容となっています。
それをなるべく丁寧に説明していきたいと思います。

今回は SNSの情報をファクトチェックしてみた結果 性犯罪をしても「自分は女」と自称すれば逮捕できないのか について見ていきます。


1.刑事事件の成立の成否が変わる

痴漢はトランスかどうかはもちろんのこと、そもそも性別にかかわりなく成立します。「自分はトランス女性だ」と主張したからといって刑事裁判で無罪になるわけではありません。当たり前ですが、痴漢目的で女性用トイレに侵入するのは、建造物侵入罪にあたる行為です。」
との回答ですが、これで安心できるかというと、そうではありません。

身体的に男性である人が女子トイレに入ってきたときに、その人が「痴漢目的」であることをどう証明しますか?

そうです。目的というのは本人の内心でしかありません。
私たちは偶然トイレで見かけた人が「痴漢目的」なのか「排泄目的」なのか知ることはできません。

それでも身体的な性別でトイレ利用が分かれているという前提があれば、
「わざわざ女子トイレに入ろうとしている男は痴漢目的に違いない」という推定が成立していました。
ところが「身体的に男性であっても女性自認があれば入れる」という前提になったときには
「わざわざ女子トイレに入ろうとしている男は痴漢目的に違いない」という推定が成立しなくなってしまいます。

つまりこれまでであれば「痴漢」であるとされていた侵入行為が
痴漢であるとは限らなくなってしまうのです。
それは刑事事件の正否に関わります。


2.実際に警察の起訴の成立に影響した

「いやいや、そんなことはないよ、警察は女子トイレに男がいたら逮捕するはずだよ」と思うでしょうか?
ところが警察が起訴するかどうかは影響を受けます。
下記のニュースを見てみて下さい。

商業施設の女子トイレに一目見れば身体上男性だと分かるような人物が入っていたというケースです。
この人物は平日は男性として仕事をしています。
そして、週末になると女装して大阪の商業施設に行き、女子トイレに入っていたとのことです。
「週末のたびに女性の服を着た男性がトイレを使っていて怖くて利用できない」という苦情があったというのですから、毎週通っていたのでしょう。
そしてこの商業施設には多目的トイレもあるのに、多目的トイレではなく女子トイレを使っていたようです。

・週5で男性としてフルタイムで働き週末のみ一目でバレるレベルの女装をする人物をあなたは「トランス女性」だと考えますか?
・あなたは同じ商業施設に毎週通いますか?
・あなたは商業施設で買い物をする度に毎回施設内のトイレを利用しますか?
・一目で女装男性だと分かる見た目で、多目的トイレではなく女子トイレを使うのは純粋な排泄目的だと思いますか?

これらについて中には「YES」の人もいるかも知れません。
でもおそらく過半数は「NO」と答えるでしょう。

でもこの記事では「その後の捜査でも心と体の性が一致しないトランスジェンダーであることが確認された」ということになっています。

なお、続報によると
「医師の診断書はなく、性別適合手術も受けていませんでした。」とのことです。

そういう人物について
「警察は刑事事件として扱うべきかどうか慎重に検討しています。」と言っています。
続報の方をみると最終的には書類送検されたようですが、
少なくとも警察にとっては「慎重に検討」しなければいけないほど
考慮すべき事項だったということです。
痴漢目的の推定が働かなかったのですね。
男性からすれば、今までに比べて女子トイレへの侵入はしやすくなったことになります。

LGBT法がなくとも「トランス」という言葉が世の中に知られているだけで
そんなことが起きているのですから、
もしLGBT法が施行されれば、この人物が起訴されない可能性は
高かったでしょう。


3.痴漢目的だと分かった時には被害が出ている

痴漢行為の多くは、予備動作なく行えます。
盗撮・盗聴犯は最初からスイッチの入った小型カメラや盗聴器を服やカバンに仕掛けてトイレに入ることがあるでしょう。
単に女性の怖がるリアクションを見たいという痴漢もいれば、女性に通報されない自分を確認して満足するような人もいます。
体に触ろうとする人は近づくまでは普通の通行人を装うでしょう。
「匂いを嗅ぐ」という趣味の痴漢もいますが、匂いを嗅いで興奮していることを証明する方法はありません。
覗いたり、排泄音を聞くタイプの痴漢がそれらの行為をしたことも証明はできないでしょう。

そういう中で「痴漢目的」の人物を見分ける方法とは何でしょう?
フェミニズム大図鑑にも紹介され、トランスフェミニスト・マニフェストを執筆した小山エミさんは以下のように語っています。

犯行後事後的に区別されるというのです。


4.無罪にしようとしている人たちがいる

先ほどの記事ですが、トランスの権利について何度か発信している太田弁護士が「戸籍上の性別と異なるトイレを使ってもただちに違法になるということはない。」とコメントしています。
このコメントを見る限りでは、この週末女装の人物がトイレに入っていたのは違法ではないと言っているように見えます。

上記の記事の続報がこちらです。
岡山大学病院ジェンダークリニックの医師と
よくメディアに登場するトランス女性が揃って、
週末女装の人物が女性トイレに入ることに反対するのは
差別であるかのように訴えています。

週5で男性としてフルタイムで働き週末のみ一目で男性と分かるレベルの女装をする人物を、さまざまな立場の専門家が揃って擁護しているのです。

なお、トランスジェンダーが関わる事件のニュースはすぐに消される傾向があります。
上記二つの記事も、引用元のニュースサイトからは既に記事が削除されています。


5.法令が無ければやっていいのか

サイトによると「戸籍上の性別通りのトイレを使わなければならないという法令は日本にはありません。」とのことです。

トイレの設置基準に関するルールはいろいろあります。
食品衛生法による飲食店での設置、
公共交通機関の旅客施設・車両等・役務の提供に関する移動等円滑化整備ガイドラインによる駅などでの設置、
そして性別について言及したものは事務所衛生基準規則によるものです。
下記のサイトを見てみて下さい。

これによると、「職場のトイレは、男性用と女性用のトイレを設けた上で、同時に働く労働者数によって一定の個数を確保することが定められています。」とのことです。
なるほど、たしかに「ここでいう男性、女性とは戸籍上の性を意味します」とも「男性は男性用トイレ、女性は女性用トイレを使わなければならない」とも書いていません。
書いていませんが、法的ルールに書いてあるならば、法的な男女、つまり戸籍上の男女を意味すると解釈するのが一般的ではないでしょうか?
男性は男性用トイレ、女性は女性用トイレを使うという運用が想定されているのは当然ではないでしょうか?
そもそもこのルールは戸籍上の性別とは違う「自認によって決まる性別」というものが存在しない前提で作られたものでしょう。

規則上想定されていない考えを持ち出して、それについて書いてないからといって自分の解釈で好きに使っていいというのでは、この世のどんな法律も無意味になってしまいます。
「法律では窃盗は禁止されているけれど、俺は永遠に借りるだけだから窃盗していない」という理由で、窃盗罪を免れるでしょうか?

むしろそこで「戸籍上の男性が男性用トイレを使うとは法律に書いてないから、女性用トイレを使っちゃお」と判断する人がいるならば、
必要なことは自己申告によるルールを既成事実化することではなく、
「戸籍上の男性が男性用トイレを使う」を明文化することでしょう。

文章量が多いので、今回はここまでにして次に続きます。
その2はこちら

その3はこちら

目次はこちら
はじめての「はじめてのトランスジェンダー」目次|ヘイトを許さない一市民🐸人権を相対化する改憲に反対|note

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?