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はじめての「はじめてのトランスジェンダー」その21 SNSの情報をファクトチェックしてみた結果 海外ではトランスジェンダーの権利を認めることで性暴力が増えているのか 後編

こんにちは。
はじめての「はじめてのトランスジェンダー」その21です。

はじめてのトランスジェンダーというサイトがありますね。

こちらのサイトはトランスジェンダーについて知りたいという人に紹介されることが多いサイトです。
しかし、このサイトには非常に多くの問題点が指摘されていて、トランスジェンダーについてはじめて学ぶ人に対して非常に不誠実な内容となっています。
それをなるべく丁寧に説明していきたいと思います。

今回は引き続き SNSの情報をファクトチェックしてみた結果 海外ではトランスジェンダーの権利を認めることで性暴力が増えているのか について見ていきます。


6.その被害はいつどこでのものか

サイト運営者によるとトランスジェンダーの性被害が多いとのことです。
トランスというのは、その人の社会的な位置づけを変える行為ですので、その被害がいつどこでのものかも問う必要があります。

①性被害体験がトランスの原因となった可能性

その性被害が異性表象を纏う前のものであった場合、それはトランス差別によるものではありません。

トランス男性に関しては、トランスする前の女性としての表象を纏っている時期の方が性被害に遭う可能性が高かったという人はいるでしょう。
そして、中にはそれをきっかけとして、女性表象を纏うのをやめたいと思った、つまりトランスしたいと思った人がいるかも知れません。

トランス女性側にしても、
性被害経験からのトラウマの再演として、
自身の男性性の否定をしてしまう人がいるかも知れません。

※トラウマの再演については以下を参照

トランスとはそのように
「何らかの経験を通してトランスになる」というようなものではない
という反論が予測されます。

しかし、性自認がその言葉通りジェンダー・アイデンティティ、
即ち性に関するアイデンティティであるならば、
人生の中で経験したことに影響されることは全く不自然ではないでしょう。
大きなトラウマを負うような被害体験が
その人のアイデンティティ形成に大きな影響を与えるのは
珍しくないどころか、自然なことです。
逆に聞きたいのですが、その人のアイデンティティの持ち方について
生得的で不変の要素と、誕生後の経験を通して構築される要素とを
分離することなどできるのでしょうか?

その8でも言いましたが、
生物学的に決まるなんらかの生まれつきの性に関する認識があるならば、
それはもはや「アイデンティティ」と名をつけるべきものではないでしょう。

②トランス・コミュニティの中で性被害に遭った可能性

現状、性的マイノリティ同士がつながれる場所は多くはありません。
新宿二丁目を代表とした夜の社交場か、
ネットのコミュニティ・サイトが多いようですね。
そして、その二つはどちらも決して安心できない相手が
紛れ込みやすい場でもあります。

夜のお店ではどうしても、昼の社会と比べて羽目を外す人が多くなります。
普段は常識的な行動をとっている人であってもお酒を飲むと善意のタガが外れてしまう人はいますね。
また、仕事の性格上、反社会的なつながりを持つ人もいるでしょう。
そういう場での出会いが多くなれば、リスクは上がります。

ネットでのコミュニティ、性的マイノリティを対象とした出会い系サイトなどでも、
やはり情報を隠して相手を誘い、加害をするような人が一定数います。
(もちろん、そうでない人もたくさんいることは言うまでもありません。)

下記のツイートに引用やリプライをつけている人を見ると
トランス・コミュニティ内での性被害が決して珍しくないケースであることが分かります。

もちろんそういう場で繋がりを持つことで救われる人、
共感できる仲間や深い関係を築けるパートナーを見つける人もいるでしょうが、
また、被害に遭ってしまう人も産んでいるのです。


7.(2)の調査はデータが不十分

「⑵ 犯罪増加につながっていないという調査はあります」といって出しているデータですが、
実際には "大規模調査" と言う言葉には疑問符が付くような調査です。

その問題はその15で詳しく述べています。

繰り返しですので、ここではかいつまんで説明するにとどめますが、以下のような問題が指摘されています。

・「差別禁止をした地域、していない地域を比較」した調査ではなく、禁止条例を制定した地域の、条例制定前と制定後を比較した調査です。

・全米ではなくマサチューセッツ州のみの中小の町3か所のデータを「米国の大規模調査」と呼んでいる。
(変化を測るための対照群まで含めても9か所)

規模としては「埼玉県の熊谷市と加須市と秩父市」のデータを書面で調べて「日本の大規模調査」と呼んでいるようなものです。
あなたの感覚としてはそれは大規模ですか?

・「中小規模の町のトイレでの立件された犯罪」に限ると件数は多くなく、条例制定前は0件、制定後は1~2件程度です。
件数が少なくて統計的な比較として信頼できる数ではありません。
そして、統計的に有意な差ではないとはいえ、どうやら増えているようです。

・性犯罪は、立件されないケースが立件されるケースの数倍あります。日本では性犯罪被害者の中で何らかの行動をする人は1/10。その中で一部が警察にまで行き、さらにほとんどは証拠も十分になく立件に至らない中(現行犯以外で痴漢被害を証明するハードルの高さを考えて下さい。)立件されたケースを数えれば、ほとんどないでしょう。しかしそのことは被害が少ない証拠とはなりません。

・住民が条例制定を知らなかった可能性が高いです。あなたは、自分の市区町村で去年成立した条例をいくつ言えますか?マサチューセッツの住民も自分の住む地区の条例の変化を知らない可能性は高いです。

・執筆者の立場は中立ではなくLGBT関係の問題を扱う弁護士です。性犯罪の多くが立件されないこと、数値に出るデータを見てもほとんど件数がないことなどを知った上で、望んだ結果が出るような調査方法を選択している可能性があります。

・性自認を尊重するという名目でトランス女性を女性刑務所に送った結果、トランス女性受刑者による女性受刑者へのレイプなどが起きています。これは身体を無視したスペース分けをしなければ0件だったはずの犯罪です。


8.「犯罪数」の数は指標として適切なのか

そもそも、犯罪として立件された数を数えるのは、
性暴力の数を数える手段として適切なのでしょうか?

よくアンチフェミアカウントが「日本では性犯罪がこんなに少ないんだ」といって
海外との性犯罪の件数の比較を持ち出します。

ですが、それはいくつかの問題を無視しています。
まず性犯罪の成立要件が日本と欧米では違います。
日本では、加害者の悪意や被害者の抵抗などが証明できなければ
強制性交等罪になりません。
加害者側が「自分は相手が同意している信じていた」と主張すれば、
悪意が無いことになってしまいます。
児童性虐待のケースでは、娘が「抵抗したこともある」ことを理由に、
「抵抗してなかったときは同意だった」として強制性交ではないと判断されました。
そのような条件では「強制性交」が成立すること自体が難しいのです。

また、警察が性被害者へのセカンド・レイプを行ったり、
被害者に被害届を出さないよう誘導したりと、
被害を認知するハードルも非常に高いです。
そうやって、「性犯罪として扱わない」ということを徹底した結果、
つまり女性の沈黙の結果が日本の性犯罪の件数の少なさなのです。

性自認を法律や条例で規定するのも、それと同等の効果があります。

条例が変わると今まで立件されていたものが立件されなくなる可能性があります。
これまでは男性が女子トイレに入ればその時点で性犯罪者の推定が可能だったのが、
「トランス女性が排泄していただけかもしれない」という可能性を検討しなければならなくなるため、その推定が働かなくなります。
女性も「トランスかも知れないな」と考えれば通報しづらくなるでしょう。
今までであれば、立件されていたものが立件されなくなるため、性犯罪成立のハードルは上がります。

アメリカでは女湯に入って少女に勃起したペニスを見せていた人物を追い出すよう女性が求めたところ、
その要求は不当だといって、暴力的なデモが起きました。

そんな状況の中では女性はたとえ気づいたとしてもなかなか声を上げられないでしょう。

法律が変われば性犯罪の成立要件が変わり、また訴えるハードルが変わるのです。
要件が違う中で数の変化を単純に測ることは意味がありません。

むしろその数に影響を与えた要因の分析こそが求められますね。


9.「幼少期から伝える」つもりは本当にあるのか?

「性別にかかわりなく性暴力の加害者にも被害者にもなりえることを幼少期から伝える必要性が示唆されます。」
とのことで、たしかに幼少期に身の守り方やプライベートゾーンの概念を伝えることは重要ですので、この意見には賛同します。

しかし、トランス活動家達の動きを見ていると、それを伝えるつもりがあるのかと疑問になります。

日本でトランスの活動をしている人や当事者の中でペドフィリア(小児性愛)をオープンにしている人は珍しくありません。

(検索で出てこなかったツイートについてはスクリーンショットを使用)

また、ペドフィリアを性的指向の一種として包含すべきとする立場の人も少なくありません。



こちらの当事者向けサイトでは、明示的な肯定まではしまけんが、少なくとも「簡単に他者によって否定されてはならないのではないか、と慎重に検討するべきかもしれません。」と共感を求める形で締めくくっています。

これらのような考えに基づいて、幼少期に性教育を行う人々が
本当に「被害者にもなりえることを幼少期から伝え」てくれるでしょうか?
どちらかというと、幼少期でも恋愛も性行為もできるのだと
グルーミングが行われるのではないかと私は心配になります。


10.まとめ

以上のことから以下のことがいえます。
・「トランスジェンダーが被害者である」という調査で女性の被害性を誤魔化そうとしている。
・その調査はサイト運営者によってSNSで拡散されているため、回答者の偏りが予想される。
・元々ゲイの調査であり、回答者の大部分はゲイであると思われる。
・質問項目が不明であり、回答者のリアクションから誘導的な質問であった可能性がある。
・女性と比べて同程度の被害と思われる。
・被害の時期・状況が不明であるため、性被害がトランスの原因である可能性や、トランスコミュニティの中の被害である可能性が否定できない。
・「犯罪増加につながっていないという調査」の中身がデータが不十分なものである。
・訴えることが難しい状況の中で犯罪としてカウントされた数を調査することの意義は薄い。
・性被害からの防犯の重要性を訴えているが、トランス主義者のコミュニティでは小児性愛を認める雰囲気があり、防犯という枠組みで捉えているのか疑わしい。


目次はこちら
はじめての「はじめてのトランスジェンダー」目次|ヘイトを許さない一市民🐸人権を相対化する改憲に反対|note


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